症例紹介:股関節の痛みに対する鍼灸治療
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
この半年間で股関節の痛みを訴える四人の患者さんを治療してまいりました。全員は40から70歳代の女性です。お一人は突発性の痛みで朝の通勤途中で動けなくなりました。もう一人の方は30年以上にわたり、変形性股関節症を患っている方です。あとのお二人の方は症状こそ激しくありませんが、時々起こる股関節あたりの鈍痛や歩きづらさが一ヶ月以上続いていたそうです。
股関節以外の部位や全身症状の有無から、まず坐骨神経痛、股関節部の骨折、関節リウマチ、関節内細菌感染などの疾患を除外できたため、股関節(軟骨)自身の変形、股関節を支える周辺筋肉および靭帯の炎症から来た痛みだと思われます。
股関節は大きな負担のかかる関節の一つで、激しい運動や日常生活での使いすぎ、加齢、悪い姿勢などによる痛みを起こしやすいです。特に女性の場合、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が多く見受けられます。これは妊娠・出産に備えるための骨盤の形状や股関節を支える筋肉が男性より弱いのが原因の一つではないかと言われております。西洋医学の治療は抗炎症剤、鎮痛剤、ステロイド剤などの薬物療法、手術、人工関節(寿命は20-30年)置換術があります。
鍼灸治療は鍼とお灸を併用しながら、患部の血流促進、組織修復力の回復、筋疲労の緩和を実現します。上記四人の方のうち、お一人は2回の治療で痛みは完全に無くなり、その後の再発はありません。もう二人の方は2回/月で、三ヶ月間の治療で完全に回復され、その後の再発はありません。
30年前に変形性股関節症を発症した方は、全般的な生活習慣病の予防・健康増進のために、既に15年以上定期的に治療に通われている方です。毎回股関節症の治療も必ずやらせていただいているため、薬の服用はなく、かつて病院で薦められた人工股関節への置換手術も必要ないぐらい、日常生活の支障はほとんどありませんし、ご趣味の海外旅行とゴルフも楽しんでいらっしゃいます。
日常生活の注意点として、股関節にかかる負担をなるべく減らすことに尽きます。そのために、たとえば、姿勢を正す、体重を減らす、過度な運動をやめる、栄養バランスの良い食事に取り込むなどです。また、ご自宅でできる簡単なストレッチ(例えば、林 和夫先生と大谷内 輝夫先生ご提案の「林・ゆうき8の字リズム体操」)も良いのではないかと思います。市販書籍は多数ありますし、ネット上公開している動画もあります。ご自分に合うストレッチ法が見つかればと思いますが、痛みのあるうちは無理してやることはありません。また、セット内容が多いときに、全部の動きでなく、そのうちの一つ、二つだけを選んで実践したほうが長続きのコツだと思います。