どうして鍼灸は効くの(4)? →鍼鎮痛④:ゲートコントロール説とTENS
2016年06月20日 公開
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
「どうして鍼灸は効くの?」シリーズでは、わかりやすくするため、なるべく西洋医学の用語・基礎理論を使って、具体的に鍼灸の効く仕組みを説明していきたいと思います。
日本語に「手当」といういい言葉があります。文字通り、痛いところ或いはその周りに手を当てて、さすったり、撫でたりしているうちにその痛みが軽くなるように感じられます。日常生活の中で、誰もがこの「手当」の効果を実際に体験したことがあると思います。この現象を神経生理学の「ゲートコントロール説」で説明したのは今から50年前のメルザックとウォールのお二人です。
そもそも末梢神経線維はA(α、β、γ、δ)線維、B線維、C線維に分類され、慢性的な渦巻くような痛みは通常C線維で感じ取ります。C線維の直径は細く、感覚を伝搬する速度は遅いです。一方、「手当」の感覚を伝える線維はAβ線維(触圧覚)で、C線維と比べると直径は太く、伝搬速度はかなり早いです。「手当」により、この太いAβ線維が刺激を受け取れば、脊髄後角において抑制性の介在ニューロンを働かせて、細いC線維からの痛み情報を遮断することがわかりました。1982年に若干内容の改善がなされましたが、これがゲートコントロール説の概要です。
ゲートコントロール説を利用した鍼治療はTENS(経皮通電刺激法)というものがあります。TENSは皮膚に鍼を刺入せず、皮膚表面に一対の電極を置き、高頻度・低電流の通電をすることにより、太いAβ線維を刺激し興奮させます。そして結果的に、末梢神経障害由来の慢性的な痛みを緩和できます。
何年ぶりでしょうか。鎌倉に行ってまいりました。