養生は「養心」から
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
以前、川嶋 朗医師(「2016年版 国民のための名医ランキング」にも登場する名医の一人で、ご専門は腎臓病学、膠原病、高血圧、統合医療など)の著書を読んで、大変印象に残ったことがあります。川嶋先生はこう書き記しています:
「私がこれまで30年近く医者をしてきた経験からいいますと、一つだけ確かなことがあります。医者や西洋医学は、ほとんどの病気を治すことができない。病気を根本から治せるのは患者さん自身だけという事実です。」
この一文の受け止め方は人によってはきっと様々だと思います。
ご存知の通り、病気になる原因はごく一部の遺伝性・先天性のものを除き、後天的な環境因子、食事・運動・喫煙等の生活習慣、ストレス(内因・外因)などが非常に大きなウェイトを示しています。
仮に遺伝的にある病気にかかりやすい素因を生まれつき持っているとしても、食事・運動・ストレスのコントロールに気をつけて生活すれば、大半回避できます。そして、病気を発症したとしても、特に生活習慣病と言われる病気(がん、糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎臓病、高尿酸血症、脂肪肝、心臓・脳血管障害、慢性閉塞性肺疾患、睡眠障害など)は、いくら薬を飲んでまじめに通院しても、生活習慣とストレスのコントロールを、患者さんご本人が主体となり改めない限り、治る可能性は小さいと思います。
川嶋先生はこういうことを言いたかったのではないでしょうか。そう、病気の予防も、病気の治療も患者さんが主導権を握る必要があります。先生は同じ著書の中に、次のようなことも述べられています:
「病気の本質的な原因の多くは、患者さんの心の中にあります。」
「心」の中にある病気の原因。。。怒り、不安、悲しみ、恐怖、焦り、嫉み、寂しさ、侘しさ、絶望感など、「心理的ストレス」だと理解してもいいかもしれません。
前々回のブログ「五月の養生法①」において、東洋医学では、「養生」するなら、まず「養心」からしなければなりませんと、書かせていただきました。養心するということは、まさに心にある病気の本質的な原因を取り除いていく過程です。まずその原因に気づき、そして自分との対話を繰り返しながら、心のバランス(平常心)を取り戻します。基本は自分ひとりの作業だと思いますが、最初から困難な場合は一時的に他人(心理カウンセラー)に頼ることも必要です。
養心という作業は広義的に毎日の生活実践でもあります。我々はみな普通な人間ですので、時には傷つき、怖がり、怒り心頭の場面もきっとあるでしょう。養心の意識があれば、自分を害する感情をいち早く鎮め、心の静けさを取り戻すことができるでしょう。そして、養心の意識があれば、自然と生活習慣のほうにも目をむくようになり、自身の健康は自身で守れるようになることでしょう。
今週の待合室で咲く可憐な花々です。最後の一枚は、いつしか植え鉢に根付いた雑草ですが、こんなに可愛いお花を咲かせます!一番好きかもしれません。