「効く薬」≠「治す薬」
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
ご存じのように、日本は国民皆保険で、世界有数な薬消費大国です。しかし、最近感じていることの一つに、薬を飲む目的に関して、患者さんと処方した医師との間に認識のズレが存在することです。これが時には医療不信へとつながってしまいます。
これを回避するには、医師や薬剤師から患者さんに薬の真実を十分に説明することに限ります。例えば、生活習慣病を代表するような高血圧、高脂血症、糖尿病、癌などの効き目の優れた治療薬でも、そのほとんどは症状を抑えるためのもので、病気を治すためのものではありません。つまり「効く薬」≠「治す薬」。これを患者さんに納得して頂く必要があります。でないと、なんでこの薬を一生飲まなければいけないのか、なんでやめたらすぐにまた再発してしまったのかなど、疑問が湧くのが当たり前です。
例えば、多くの方が飲まれる降圧剤です、最近30歳代から降圧剤を飲んでいる方もいます。降圧剤の効果を評価する臨床試験では、薬を飲んだ○%の人が血圧が△mmHg下がったという数字をもって、この薬は「有効である」と判断します。つまり、薬の有効性の判断基準はそもそも「治癒できた」のではなく、飲めば一時的に症状が治まった人が○%がいたというだけのことですので、飲めばいつか高血圧症が治るという期待はできません。ですので、血圧が高ければずっと降圧剤を飲み続ける必要があるのです。
しかし、本当に一旦高くなった血圧が一生薬を飲み続けなければもう下がることはないでしょうか。そんなことはありません。特に肥満、タバコ、高塩食、運動不足からくる高血圧は生活習慣を変えるだけで下がることがよく知られています。しかし、生活習慣の徹底した改善は口で言うのは簡単ですが、厳密に実践できる方はかなり限られてくるため、大抵のところ、薬をやめた途端また上がってしまいます。
生活習慣病の予防と治療には、鍼灸という選択もあります。もちろん、鍼灸治療においても生活習慣の改善はベースにあります。当院では治療を通して、代謝、内臓機能、血管&血流状態、過剰な炎症反応の改善をしながら、食事運動などの生活指導も行います。薬を減量し、或いは完全に薬をやめられた患者さん(主治医による検査と診断の上、服薬の必要はなくなった)もいらっしゃいます。検診などで異常に気付いたら、早期に治療を開始すれば、一層高い治療効果が期待できます。