どうして鍼灸は効くの?(95)-癌について
(5)鍼灸は本当にガンを治せるか
①ガンは予防が第一
うちの治療院は1992年に開院してから既に33年が経ちました。長年疾病予防・健康増進という目的で定期的に来院されている患者さんたちは、既に60代に突入して、最高齢の方はいよいよ90代に入られますが、ガンになった方は一人もいません。そして、毎日何かの薬を服用していない方も多いです。
みなさんは最初に何らかの病気で治療に来られて、その病気が治ってからそのまま定期的に健康維持、再発予防のため鍼灸治療を受けておられます。30数年の間、時には睡眠を取れないような猛烈な働き方をしたり、親とパートナの在宅介護を経験したり、決して皆のみんながストレスのない順風満帆な生活ばかりをしてきたとは言えませんが、ほとんど病気にかからないか、少々の不調(風邪、関節痛、胃腸の不調、不眠など)があってもすぐ治ります。そして、ガンを含むいわゆる生活習慣病や自己免疫疾患にもかかりません。
どんな病気でも一旦なったら、年をとるほど慢性化しやすいですし、病気そのものと治療薬の副作用でドミノ倒しに次々と別の病気にかかっていくことがあります。定期的な鍼灸治療は免疫系・自律神経系・内分泌系の正常化を同時に図る働きによって、体が遺伝子変異の起きたガン細胞を細胞レベルで処分する機能を活性化し、臨床レベルの腫瘍(検査機器による目に見えるガン細胞の塊)に成長させないという働きがあるのではないでしょうか。
ガンという病気は患者さんご本人及びご家族の精神的ストレス、経済・介護負担だけでなく、患者さんご本人の身体的苦痛、寛解しても再発・転移の心配など、今までの平穏な生活が一気に崩れてしまうケースが多くあります。やはり最初からならないようにガン予防に注力すべきです。
②定期的な鍼灸治療でガン組織の成長を抑える
関節痛、頭痛めまい、胃弱、糖尿病予備軍などの症状でご来院された患者さんが数回~数か月の鍼灸治療を受けて、主訴の症状&検査数値が良くなった後に治療をやめますが、2年、3年以上経ち、久しぶりにお電話をいただいたときに、今度病院でガンが見つかったという方は今まで数人おられました。ガンは検査でわかるまで通常10年ぐらいかかります。つまり、この方は鍼灸治療を始めた時点より既に、かなり前からガンが体内にできていましたが、鍼灸によりガン組織の増殖が抑えられていたので大きくならなかったと考えられます。ところで、鍼灸治療をやめたら、ガン細胞の増殖が再び活発化し、もしその時何らかの事情が重なり免疫力が弱まったら、一気に臨床レベルのガンまでに発展してしまった可能性があります。
この数人の方は昔にタイムスリップし、そのまま鍼灸治療を続けていたら、ガン発症しなかったのかという比較はできませんので、あくまでも推測でしかなりませんが、やはり思い出すたびに、とてもくやしいです。
私たち全員のからだに毎日数千個のガン細胞ができるという説は定説になりつつあります。ガン細胞は私たち自身の細胞で、出来損ないの細胞です。通常、免疫システムが正常に作動し、免疫細胞ができたばかりのガン細胞をやっつけてくれます。しかし、この免疫システムの働きが衰えれば、ガン細胞が体内に残り続け、集まり、少しずつ大きさを増し、やがて臨床レベルのガンまでに大きく成長します。この過程が10年間はかかると言われております。この間、母体になんら害がなければよくて、そして検査しても気づかないことが多いです。では一旦、検査できないような微小なガンの集まりができたら、必ず全員10年後ガンになるのかというと、そんなことはありません。場合によっては、知らない間ガンができ、また知らないうちにそのガンが消えることがあります。このようなガンは私たちが知る必要はありませんし、むしろ知らないほうが精神衛生上、健康のためになります。
「知らないうちにそのガンが消える」というのはどうやってできますか、という質問が出るでしょうが、それは毎日丁寧に生活することです。ガンは生活習慣病であるゆえ、中庸的で程良い生活習慣を樹立させることです。食事栄養、ストレスコントロール、睡眠、運動を見直し、必要のない薬をやめる(減薬)、定期的に鍼灸治療を受けるなど、地道に努力を重ねるしかないのです。
③標準治療を受けた後に、鍼灸治療で再発・転移を予防する
手術を受けた後、抗がん剤や放射線の治療中あるいは治療後に、鍼灸治療を定期的に受ければ、ガンの再発や転移をある程度防ぐことができるのではないかと考えます。実際に臨床レベルのガンが発現されたとき、一部の患者さんにはすでに体腔への播種(たとえば卵巣ガンの腹膜への播種)、遠隔部位への転移(たとえば胃ガンの肝臓への転移)があり、ただ画像検査でまだ見つけられない極微小なガンをもっている可能性があります。手術からの身体負担や抗がん剤などの副作用が適切に管理できなければ、免疫力を低下させ、患者さん自身の精神的ストレス、食欲不振・自律神経や代謝失調による体力の衰弱は、転移ガン細胞の増殖を促進させる条件となりうるのです。そのため、治療後それほど経っていないのに、ガンの再発・転移がたびたびあるわけです。
実際、標準治療を終えてから当院で鍼灸治療を始めたガン患者さんについては、鍼灸治療を中断した(その後追跡できていません)、或いはなかなか定期的に通えない方を除いて、再発・転移はなく、健常者と変わらない生活の質を保っておられます。
④鍼灸は急速な進行ガンや末期ガンには弱い
ガン治療は標準治療をしても、治療しなくても、いずれ最終的にガンと対峙するのは患者さん自身の体力、患者さん自身の免疫力です。鍼灸治療も患者さんの免疫力、体力を高めるためにあります。速いスピードで進行しているガンや末期ガンには、前のブログに掲載した臨床治験の結果で示したように、鍼灸治療による延命効果があります。ただこの病期になった後に、鍼灸のみで完治するのは難しいです。こういう病期のガン患者さんは手術・抗ガン剤・放射線などの治療を既に受けていて、副作用をうまくコントロールできなければ、副作用が患者さんの体力を上回ってしまい、免疫力が一段と下がり、からだが痩せ、気力もなくなります。鍼灸医学でいう命の元になる気(元気、精気、正気)は既に大きく傷められている状態で鍼灸を始めても、その気を元の状態までに修復するのは難しいです。
④の表題で「弱い」であって、「できない」という言葉を使わないのは、きっと例外もあることでしょう。いくつかの好条件がそろうならば、あっさりと進行ガンも末期ガンも治った、自然退縮したという症例も、まれでありながら、報告されています。体力と前向きの気持ちさえ残っていれば、腫瘍が大きくても、何ヵ所にあっても、あきらめることはありません。
そして何度でも言いましょう。ガンにならないよう、予防が一番大事です。ガンの予防はほかの生活習慣病の予防にもそのままなります。
追記:「予防医学」という分野があります。上記でいう予防はあえて分類するなら、予防医学の「一次予防」(良い生活習慣による発症予防など)です。つまり、予防医学の「二次予防」(早期発見、早期治療)、そして「三次予防」(再発予防・機能回復)は医療介入の要素が強くなります。人間らしく自然のままに、食事、睡眠、運動、ストレスコントロールで生活習慣病の予防ができたら一番理想的です。
予防医学は決して傲慢的、威圧、強制になってはなりません。個人の意志をまず尊重します。そして、金儲けの道具にしてはなりません。予防医学の理念が後々、個人への身体的及び精神的干渉にならないよう、幼少期からの教育、特に「一次予防」の早期実践が大事だと思います。それでも「私のポリシーに合わないから、ほっといてくれ」というなら、それを尊重しなれけばなりません。
夏雲
昨日の夕方、治療院の窓から撮った夕日(画面一番下の真ん中に見える半分の夕日)、少し曇っていますが、いいですね!
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