症例紹介:めまいの鍼灸治療
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
めまいの治療は鍼灸治療院において、最もよくある症状の一つです。めまいは様々なタイプがあり、またうちの治療院でよく見られるめまいの随伴症状は以下のような内容があります:
・頭痛、首&肩のこり
・目の症状(目の痛み&疲れ、目がチカチカして、開けられない)
・耳鳴り、聴力低下
・不眠、うつ状態
・便秘(或いは下痢)
・吐き気、消化不良
・貧血
・動悸
・ほてり、汗の異常
・歩き方の異常(歩き出すと、左右どちらかの片方に寄って行ってしまう)
など、多様な随伴症状も見られます。高血圧、脳・心臓・血管の病気もめまいの症状がありますので、救急を要するケースも想定しなければなりません。
昨年暮れからの症例をいくつか挙げてみます:
<症例1>
患者さん:30代男性、会社員
症 状:
・めまい、めまいがある時に目が開けられない。
・普段から目の乾燥と疲れが気になる。
・時々高い音の耳鳴りがする。
・時々下痢する。
・睡眠の質がよくない。
・背中のコリはひどい。
・会社の健康診断で特に指摘された項目はない。血圧、血糖値、検尿などすべては正常。
<症例2>
患者さん:50代女性、会社員
症 状:
・三ヶ月前からめまいが始まり、めまいになるキッカケは特に見当たらない。
・整形外科でストレートネック、頚椎症(C4-5軽い狭窄)だと言われた。
・右上腕のしびれがある。
・駅の階段を登ると、時々息切れする。
・30代から病院で不正脈の治療を受けていて(飲み薬常用)、心臓の定期健診で問題なし。
・食欲はない。胃と大腸の内視鏡検査で問題はない。
・50代から頻尿になりがち。
・会社の健康診断で、貧血だと指摘されたが、それ以外の問題はない。
<症例3>:
患者さん:50代女性、専業主婦
症 状:
・めまい、頭痛
・更年期症状がある(顔のほてり、睡眠途中の覚醒、動悸)
・昔から肩こり、腰痛、お尻から太ももの裏にかけての痛みがある。
・左手の親指、人差し指の第一関節の変形、痛みがある。
・小さい時からアトピー性皮膚炎(かなり良くなってきている)、今は花粉症、時々原因不明の湿疹が出る。
・甲状腺ホルモンのレベルは少し低下した状態だが、治療するほどの低下ではない。
・治療院での検査結果:血圧は正常、聴診器による心音、肺音は正常。
治療結果:
上記複数の症例において、早いケースでは、1回の治療で改善が見られ、2回めの治療を終えた時点でめまいの症状は出なくなり、その後も再発はありません。回復が遅いケースでも、5回の治療が終わった段階で症状が治まりました。また、めまい以外の症状もそれぞれ改善・治癒が見られました。
東洋医学の考え方:
上記の症例のように、めまい以外に、全員の方はその他の随伴症状、或いは随伴症状とは関係のないところで健康問題を抱えていらっしゃいます。つまり、病院に行くとしたら、一人の患者さんが悩んでいる症状を全部診てもらうために、耳鼻咽喉科以外に、消化器内科、泌尿器科、精神内科、整形外科など、複数の診療科にそれぞれかかる必要があります。しかし、鍼灸治療の場合、複数の診療科にかかるような症状を一同に治療し、同時に複数の症状が緩和・治癒することになります。ここが東洋医学と西洋医学の違いです。
西洋医学は人体を解剖的な臓器、組織ごとに細かく区分し、分子レベルまでその臓器、組織の生理・病理解析を行うのが得意です。東洋医学は人体を一つの整合体として診ているため、各臓器、組織間は互いに協力・牽制しながら機能していると考え、めまいがあれば必ずめまいを引き起こす原因があり、その原因の元でめまいと同時に出現する他の症状も必ず存在すると見ています。従い、病院で複数の診療科にかかるような症状も、東洋医学ではめまいと「同じ原因」の元で起きているだけですので、その原因だけの対処に集中していれば、自ずと多様な症状が同時に改善していくのです。
めまいを引き起こす原因はいくつかあります。例えば:
・気血不足
・痰湿上蒙
・肝腎陰虚
上記の症例もこれら「原因」のどれかに該当しています。鍼灸治療の最初に取り掛かるのは、病因つまり東洋医学の診断を行うことです。診断が決まれば、治療手法(経絡・ツボを処方する)も自然に決まります。
最近町の夕暮れの写真に癒されております。
一転して、暖かい陽だまりの大根畑。こちらもいいですね。冬の生命力を感じます。
今、菜の花も咲いております!早すぎでしょうか。
冬のお花たちです。
鮮やかに実っております。