症例紹介:自己免疫性肝炎&原発性胆汁性胆管炎の鍼灸治療
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
最近の症例を一つご報告させていただきます。自己免疫性疾患の症例です。
今年4月19日に書かせていただきましたブログ(「“重症化しない”がキーワード ― withコロナ時代に生きる」)において述べたように、鍼灸治療は新型コロナウィルスによる重症化を防ぐ仕組みには、免疫細胞の暴走(炎症性サイトカインストーム)を止め、体内に備わっているTreg細胞を増やし活性化することが考えられます。これと同じことで、免疫細胞の誤作動や暴走による自己免疫性疾患である「自己免疫性肝炎」及び「原発性胆汁性胆管炎」(両方は難病指定です)に対しても、とても良い治療効果があります。最近の一つの症例をお示しします。
患者様:40代女性
初診時主訴:初診は2020年11月初旬です。
30代に自己免疫性肝炎&原発性胆汁性胆管炎だと診断され、以来ステロイドの飲み薬(免疫抑制剤)を10年間飲み続けております。しかし、3ヶ月前突然にALT値が上昇してしまい、ステロイドの服用量をすぐに2倍に増やしましたが、2ヶ月間が過ぎても効果は見られず、ALT高値が続いておりました。そこで、ステロイド以外の治療法も試してみたいと思うようになり、当院にご来院されました。
2020年10月9日の検査値(初診時にお持ち頂いた近々の検査データ):
AST:39
ALT:68
γ-GTP:202
LAP:110
検査値の意義:
上記4つの検査値は共に肝臓・胆道系の疾患がある時に増えてしまうものです。中で特にALTが肝細胞の障害程度を調べるのに最も適しております。これはASTが肝臓以外の組織にも存在するのに比べ、ALTは主に肝臓に存在しているからです。ALTだけが急に上がった時は、まず肝細胞の破壊が更に進み、肝機能が何らかの原因で下がっていることを疑います。
鍼灸治療の目標:
①五臓六腑の「肝」・「胆」だけでなく、全身調節が必要だと考えます。
東洋医学では、五臓六腑(内臓)は単体の存在ではなく、常に互いに影響し合いながら、一つの有機的な統合体として機能し、生命活動を支えていると考えております。この症例では、「肝」・「胆」以外に主に考慮しないといけない臓腑は「脾(胃)」、「腎」、「心」です。
②免疫系のバランスを正常に戻し、免疫細胞の暴走による、自らの肝・胆組織への攻撃を止めます。
③長年服用しているステロイドの副作用を緩和します。例えば、免疫力低下、糖尿病、脂質異常、骨粗鬆症などの可能性です。
④自律神経のバランスを整え、免疫系と内分泌系への良い相乗効果を狙います。
治療結果:
11月初旬から、11月末迄に計4回の治療(週に1回)を行い、11月27日の検査値は以下の通りです。
2020年11月27日の検査値:
AST:31(正常範囲に戻り、先月より8単位が下がりました)
ALT:49(先月より19単位も下がりました)
γ-GTP:170(先月より32単位が下がりました)
LAP:103(先月より7単位が下がりました)
各検査項目に改善が見られ、一番心配していたALT値は68単位から49単位までに下がり、後少しで正常範囲に入ります。治療は今も継続中で、もうしばらく一緒に頑張ります!
また柚子ジャムを作る季節がまいりました。年中柑橘類のジャムをいただているため、この時期に多めに作らないと一年間は持ちません^-^。
ジャムは皮ごとですので、皮に含まれる成分は喉粘膜の保護作用や喉の炎症を抑える作用がありますので、年中特に冬に良くいただきます。パンやヨーグルトに、そして熱い紅茶にも入れたりもします(紅茶の時、日によっては、すりおろした生姜、シナモンも入れます)。
今日は3瓶(小瓶)だけの量でした。冷蔵庫で保存します。