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どうして鍼灸は効くの(48)?

2020年11月11日 公開

鍼灸が生理活性物質に対する調節作用をずっと見てきました。前回は上皮成長因子、血管内皮細胞増殖因子と鍼灸治療との関係を書きましたが、今回は神経栄養因子を見ます。

 

8、神経栄養因子(Neurotrophin ニューロトロフィン NT)

 

胎生期における神経の分化・成長、生後の神経細胞(ニューロン)の機能維持には神経栄養因子を必要としています。また、神経損傷が起きたとき、神経の再生・修復にも神経栄養因子は重要な役割を担っています。

1950年代に神経成長因子(NGF)が発見され、1980年代に脳由来神経栄養因子(BDNF)が発見されました。NGFとBDNFとは遺伝子相同性をもつため、NGFをNT-1とし、BDNFをNT-2とし、その後NT-3、NT-4/5まで発見されました。それ以外に、グリア細胞*27由来神経栄養因子(GDNF)の存在も知られました。NGFは線維芽細胞、シュワン細胞*28、角化細胞、肥満細胞・マクロファージ・リンパ球などの免疫細胞から生成され、ニューロン自身がNGFを生産せず、その受容体はTrkAです。BDNFはニューロンの細胞体で作られ、軸索を通過し神経終末から放出され、受容体はTrkBです。GDNFの受容体はRET/GFRα1の二量体になっています。

 

どの神経栄養因子も120個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合したホモ二量体で、似たような機能がありながら、それぞれの個性を持っています。

(1)神経成長因子(NGF):

  • 神経ニューロンの生存を支える。NGFを産生しなければTrkA受容体をもつ神経細胞は死滅する。
  • 神経軸索の伸張、機能維持、損傷時の修復などにNGFを必要とする。
  • 感覚神経線維、交感神経線維の伸長や機能維持に役立つ。
  • 神経伝達物質の合成を促進する。
  • 脳神経回路の維持・損傷修復に役立ち、脳の老化防止機能を持つ。

 

(2)脳由来神経栄養因子(BDNF):

  • 神経幹細胞の分裂・分化・成長を促進する。
  • 中枢神経細胞の生存を維持し、神経突起(軸索)の伸張を促進する。
  • 神経伝達物質の産生を促進し、シナプス伝達抑制を阻止し、伝達効率を増強する。
  • 神経細胞の再生を促し、神経細胞の死を防ぐ。
  • 神経回路の構築・成長を促し、神経の可塑性を保つ、脳の記憶・学習などの機能を向上する。
  • 脳の損傷を修復、脳を保護する機能をもつ。
  • 神経系以外に、筋芽細胞や筋線維の分化・発達、血管の分化・増殖、脂質や糖の代謝にも関与する。

 

(3)グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF):

  • ドーパミン作動性神経細胞の栄養因子であるが、他の脳神経細胞、脊髄前角運動細胞、自律神経細胞、腸管神経細胞などの栄養因子としても働くことが分かり、広い範囲の神経細胞の生存・増殖・分化・成熟に重要な働きを果たす。
  • 感覚神経細胞などの軸索の伸張、損傷時の修復に関与する。

神経栄養因子の働きについてはまだまだ研究中ですが、神経系以外にもいろいろ関与しているようです。

 

鍼灸が神経栄養因子に対する影響に関しては、近年たくさんの研究報告が発表されています。

 

中国広州中医薬大学付属骨傷科病院は、鍼灸が骨粗しょう症を治療するメカニズムに関する研究で、治療効果は脳由来神経栄養因子(BDNF)とその受容体(TrkB)発現の増加とも関連性があると分かりました。

成年のメスラットを卵巣摘出手術により更年期状態にさせました。術後3ヶ月が経ち、骨粗しょう症になったラットに閉鎖骨折をさせ骨折モデル組を作り、そして健常な対照組、骨折になったモデル組のラットに鍼灸治療を施す治療組の3組に分けて観察しました。

骨折して7日目と14日目の観察で、モデル組と治療組の両方とも軟骨芽細胞、軟骨基質などにBDEFとTrkBの発現は増加しましたが、治療組の増加は更に多いことがわかりました。また、治療組の髄腔の骨前駆細胞の活性化はモデル組より活発で、軟骨芽細胞や骨性仮骨などの形成もモデル組より速くなりました。

鍼灸治療は昔から骨折の癒合や修復に応用されてきましたが、その治療メカニズムは各種の要因が関与しますが、今回の研究で骨折の修復には神経栄養因子も関与することは実に「想定外」の発見でした。

 

中国黒龍江省中医研究院鍼灸科は、パーキンソン病のラットモデルを作り、頭部の電気鍼で中脳黒質のBDNF陽性ニューロンの量や密度が上昇させることに成功しました。BDNF発見の増多により、ニューロンの変性を阻止し神経細胞の再生を促進、ドーパミンの放出やシナプス伝達を促されます。鍼治療によるパーキンソン病の臨床治療理論根拠を固めました。

 

中国湖北中医薬大学もパーキンソン病に対する鍼灸治療のメカニズム研究で、鍼の刺激による中脳黒質線条体系における、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)とその受容体群のRET/GFRα1の増加や活性化が治療効果をもたらしていると解明しました。

同大学が実験用ラットでパーキンソン病モデルに作り、モデルラットを更にモデル組と鍼治療組に分けました。鍼治療組は電気鍼で1日1回、2週間治療を続けた後、中脳黒質線条体系のGDNF、RETを調べました。鍼治療を受けていないモデル組のGDNF陽性の細胞数は著しく減少したに対し、鍼治療を受けた治療組のGDNF陽性発現の細胞数はモデル組より平均約71.95%も増え、RET発現は治療組がモデル組より約47.95%上がりました。

GDNFは黒質線条体系、視床下部、辺縁系、中間皮質系などドーパミン作動性神経細胞の機能に重要な働きをしています。GDNFはまず細胞膜にあるGFRαと複合体を形成し、シグナルを細胞内に伝導して細胞内のRETと結合します。RETは癌原遺伝子産物*29ですが、受容体型チロシンキナーゼとして機能します。タンパク質合成に最終的な引き金を引くのはRETですので、機能的なGDNF受容体として重要視されます。

パーキンソン病の患者さんの中脳黒質線条体系におけるドーパミン作動性神経細胞の脱落・減少、ドーパミンという神経伝達物質の産生が減り、シナプス伝導が悪いなどの原因によって、パーキンソン病の独特的な症状(振戦・固縮・無動・バランスの悪さなど)が現れてきます。GDNFは高効力な神経栄養因子で、離体細胞培養の運動ニューロンに対する生存・分化促進能力は脳由来神経栄養因子(BGNF)の75倍という報告があります。鍼治療の重要な意義はGDNF陽性脳細胞を増加させるだけではなく、機能的な受容体であるRETの表出も増やすことにあります。パーキンソン病に対する鍼の治療効果は理論づけられました。

次回は「ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ」のお話をさせていただきます。

*27 グリア細胞:神経膠細胞ともいいます。中枢神経系で結合組織として機能しています。星状膠細胞(大膠細胞)、稀突起膠細胞、小膠細胞という3種類があります。星状膠細胞はニューロン、血管などを支持・保護・絶縁する以外に、ニューロンの物質代謝、変性した細胞や不要物質の処分、血液脳関門の形成などに働いています。稀突起膠細胞は有髄線維の髄鞘形成、小膠細胞は食細胞として異物を取り込むことに関与しています。

*28 シュワン細胞:末梢神経系において、有髄神経線維の髄鞘を形成する神経膠細胞である。末梢神経系のグリア細胞と考えても良い。

*29 癌原遺伝子産物:癌原遺伝子タンパク質ともいいます。正常細胞の正常遺伝子は何らかの修飾で変異が起こり、異常な構造や機能を来たすことがあります。その結果、正常細胞の癌化現象が起きます。修飾を受ける前の遺伝子は癌原遺伝子で、このような遺伝子たんぱく質を癌原遺伝子産物といいます。

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