八月の養生法
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
先月24日の日に初めて家の近くにいる蝉の声が聴けて、ホットしました。
さて、暦の上では八月は秋を迎え、二十四節気の「立秋」と「処暑」があります。
8月 7日(金):立秋
8月23日(日):処暑
8月25日(火):旧七夕
立秋を過ぎると、理論上朝晩は若干涼しくなります。私の子供の頃は立秋を過ぎると、本当に朝晩は寒くなり、厚めの布団はないと確実に風邪を引くものでしたが、温暖化の影響でだんだんこんなこともなくなりつつあります。今は処暑を過ぎてもまだまだ厳しい残暑が残ります。
東洋医学では、八月を「耗気傷陰」の季節と言います。長引く猛烈な暑さにより、気血両虚になりやすく、身体的にも精神的にも疲れやすいです。消化機能が低下すれば、免疫力も下がります。そして実に消化機能と緊密な関係にある睡眠の質も下がりがちです。中国のことわざで「心静自然涼」という言葉があり、心が静まれば自然に涼しさを感じるようになるという意味です。意識的に一日の中に何回か深呼吸をし、気持ちを安定させれば、自然と涼しく感じてくるでしょう。深呼吸と同時に腹式呼吸も行えば、お腹にある臓器、特に胃と腸をマッサージし、横隔膜も動かせて呼吸機能の向上、心機能の改善にもつながります。熱中症、食中毒、引き続きコロナ感染症にも気をつけましょう!
今年2月1日のブログ(「冬晴れしたら、蒸し椎茸を作りませんか?&二月の養生法」)で紹介した養生食は最近も作ったりしております。栄養で考える場合、免疫力を高めるには、まずはタンパク質です。それから、ビタミンやミネラル、食物繊維など、特に今注目されているのはビタミンDです。新型コロナウィルスによる重症化を軽減・予防できるのではないかとの研究結果が出ているからです。このことに関して、5月1日のブログ(「五月の養生法」)においても話をさせていただきました、つまり多種多様な栄養を摂ることは免疫力を維持・高めるには必要なことで、今ダイエット中の方もしっかり色々な栄養を摂ってください(代わりに食べる量を少しずつ減らし、総摂取カロリー量を減らすのは一番いいです)。
また薬を服用しコレステロールを下げている方も、コレステロールを下げすぎないよう、処方の先生とよくご相談ください。コレステロールを必要以上に下げすぎると免疫力も下がります。
また、最近たくさんの除菌グッズが薬局やスーパーで簡単に入手できるようになりましたし、除菌サービスも増えてきました。コロナウィルスには濃度70%-80%のアルコール消毒が有効である以上、今のタイミングでこまめにアルコール消毒するのは間違いありませんが、必要以上に神経質にならず、消毒グッズの濫用にも気を付けないといけません。アルコールを含めた各種消毒液に耐性のある菌やウィルスがそのうち出てきてしまってもおかしくありませんし、きれいすぎる環境下では、NK細胞をはじめとする免疫細胞たちは仕事はなくくなり、段々と怠けてしまいますので、逆に人間の免疫力を下げてしまいます。何事もバランスを取りながらやるのが一番ですね。
さて、今月は夏の代表的な果物であるスイカを使い、ジュースとサラダを作ります。
スイカとレモンの爽やか夏ジュース
このジュースは夏の暑い南台湾のジュースだと聞いております。糖尿病を患う親を思い、夏ぐらいは甘味のある爽やかなジュースを作ってあげたいという思いから生まれたジュースです。スイカは糖尿病の方でも食べられる果物で、ただ過食は禁物です。食養生の観点からも、スイカは糖尿病に効くと考えており、また、夏のほてた体の熱を取り、むくみにも効果があります。レモンは皮ごとを使います。レモンの皮にはシトラール、リモネンなどが含まれ、ストレス解消に効果があり、またレモンの果肉に含まれるクエン酸、ビタミンCは疲労回復、風邪予防、免疫力向上にはとても効果的です。この二つの果物を組み合わせれば、夏に最強のジュースを作れます。しかも、適当な大きさに切って、ミキサーに入れるだけですので、簡単です。
ここで余談ですが、2月23日のブログ「免疫力を上げたい:ご自宅で据えるお灸の位置&症例報告:流産を乗り越え、第2子を自然妊娠!」では、自然免疫で重要な役割を担うNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が真っ先に体内に侵入してきたウィルス(新型コロナウィルスを含む)と細菌を排除し、感染症の発症、症状の軽減、重症化の予防に役立つ話をさせていただきました。そして、鍼灸治療がいかにNK細胞を増やせるかの実験結果も示しました。しかし、このNK細胞は実にストレスに弱い免疫細胞です。軽い運動、趣味のこと、睡眠、そしてこういった食べ物でストレス軽減を試みるのは免疫細胞を元気づける良い方法です。
材 料:スイカの果肉、レモン丸ごと
作り方:
①スイカの赤い果肉の部分を包丁で皮から切ります。切り取った果肉はミキサーにかけやすい大きさに適当に乱切りにしてください。種は取らなくても大丈夫です。ただ、種を取りたい方は取ってください。
②レモンは皮ごと、種ごと適当な大きさに切ってください。皮も使いますので、なるべく国産・無農薬のものを使ってください。無農薬を手に入らない場合は、よく塩水などで水洗いしてください。
③上記①と②をミキサーにかけて、ジュース状になればOKです。
④③をザルで濾して、スイカとレモンの爽やか夏ジュースの出来上がりです。
スイカの皮の簡単サラダ
スイカの皮は漢方の材料にもなりますので、捨てるのはもったいないです。皮には、血流・むくみ改善、老廃物の排出、熱中症予防、口内炎治療(皮を焼き、細かくしてから患部に塗布)、日焼け後の皮膚炎症、汗疹(細かく刻んで皮膚に塗布)などに使えます。今日は無駄なく食べましょう!
材 料:スイカの皮、塩、醤油、豆板醤、お酢、にんにくのすりおろし、ごま油或いはえごま油
作り方:
①上記スイカジュースで残った皮を使います。皮の一番外側の皮を剥き、残りの白(薄緑)の部分を千切りにし、適量の塩で軽く揉んで、1時間ほど漬けます。水が驚くほどたっぷりと出てくるはずです。
②①を手で絞り、ボールに入れ、調味料を全部入れ、混ぜれば出来上がりです。
スーパーで買ってきたスイカですが、1/4の量であればレモンは半分でちょうどです。レモンの皮はどうしても苦みがありますので、この苦みがいただけない方は皮を剥いてもいいでしょう。スイカ1/4ですと、3人分は作ります。くれぐれ飲みすぎないように、やはり糖分も多いですので。
私は種を取るのは面倒でしたので、種を取らず、そのまま切ってミキサーにかけました。
果肉を取ると、このように皮が残ります。少し果肉も残りますが、後ほどサラダを作る時にこの赤みの色合いはまた綺麗です。
ミキサーにかけましょう。
ザルの下に大きめのボールがあります。表面は細かい泡で白っぽく見えますが、下の層は真っ赤なスイカ色です^-^。
ザルを引き上げて、種など粗い粒つぶを取りましょう。
真っ赤なスイカとレモンの爽やかジュースの出来上がりです。レモンの酸味や香りが加わり、やみつきになりそうですが、飲みすぎは禁物です。
次は皮のサラダを作ります。一番外側の皮をこのように剥いてください。
千切りにして、塩で軽く揉んで、そのまま1時間ぐらいつけましょう。
この写真はわかりずらいですが、1時間後にはたっぷりと水が出てきます。これを絞りましょう。スイカの皮はすっかりしていますので、絞っても折れたりすることはありません。
味付けをしましょう。和風や洋風に味付けてもいいですよ。
スイカの皮のサラダが出来上がりです。パリパイでとても食べやすいです。