十二月の養生法
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
十二月には二十四節気の「大雪」と「冬至」があります。11月の「小雪」と比べ、「大雪」の頃は寒さが増してきて、「大雪」の日に雪が降れば、くる年の農作物の豊作を象徴すると言われております。「冬至」は一番昼が短く、夜が長い日ですが、東洋医学の陰陽学説においては、陰気が極まり、やがて陽気へと転化するという重要な日でもあります。中国では冬至を一年の始まり、そして太陽の出発点とし、太陽に通じる色である「黄色」を持つゆずやかぼちゃのお料理で冬至の日を健やかに過ごされたらいかがでしょうか。今年は、
12月 7日(土):大雪
12月22日(日):冬至(ゆず湯、かぼちゃのお料理)
また、
12月10日(火):世界人権デー
12月26日(木):夕陽の部分日食、新月
いよいよ年末、どこのおうちも大変お忙しくなる時期です。お仕事も受験勉強も年末の大掃除も疲れすぎないように、楽しく忙しい日々をやりくりしましょう。体はもうだいぶ寒さに慣れてきたころですが、油断せず食材や衣服などで積極的に体を暖め、風邪やインフルエンザにならないよう気をつけましょう。部屋を暖房器具で暖め、夜は早めに暖かいお布団に入り、朝は日の出の前に無理に起きず、7時間の睡眠時間を確保しましょう。
また「血圧サージ」に特に気をつけないといけない季節になりました。12月、1月、2月は血圧が高くなり、脳卒中や心筋梗塞になりやすい時期です。私の患者さんの中にも、「血圧サージ」で突然脳梗塞になったと思われる方はいらっしゃいます(脳梗塞後遺症の治療にいらっしゃっています)。
血圧サージになりやすい方は健康診断でいつも血圧正常であっても、普段から血圧コントロールに務めたほうがいいです。24時間の血圧測定をすれば、血圧サージを持っているかどうかはわかりますし、またその頻度もわかります。高頻度の方は血管が弱くなっている可能性がありますので、注意と対策が必要です。ちなみに、「血圧サージ」とは、血圧急上昇のことで、血圧サージが起こってしまう場面は例えば、
・冷たい水で顔を洗う
・冬の朝、素足で冷たい床を踏む
・低い室温、冬の低い気温
・急にベッドから飛び起きる
・忙しい家事に、人への気の使いすぎ
・激しい怒り、または怒られる
・病院での診察&治療に対する緊張感
・タバコ、深酒
・トイレでいきむ
・くしゃみ、咳
・力仕事、激しい運動
・会社の会議など緊張する場面が続く
・コーヒーなど刺激性の強い飲み物
・睡眠時無呼吸症候群
・降圧剤の切れ目
などがあります。
今月は幸せになるデザート「黒胡麻おしるこ」を作ります。
東洋医学では、冬は五臓六腑の「腎」を守る季節で、黒胡麻のような黒い食べ物は腎の養生に良いとされております。また材料の白玉粉やくず粉は胃を養い、体力をつけ、東洋医学で言う「風湿の邪」を取り除く効用があり、冬に適した食材です。このおしるこは初めて作ったのですが、あまりの美味しさにただただ幸せでした。
黒胡麻おしるこ
材 料:黒胡麻100g、三温糖100g、グラニュー糖40g、くず粉(なければ片栗粉)10g、水50ml、80℃のお湯400ml、白玉の生地(白玉粉100g、水100ml)
作り方:
①フライパンで黒胡麻を軽く温めるように煎る。私が使った黒胡麻はスーパーで買った煎り胡麻ですので、本来煎る必要はありませんが、なんとなく温めたいですので、軽く煎ります。
②①の黒胡麻をすり鉢に移し、ひたすらすります。胡麻の形も質感も変わっていくのを感じられます。最初はサラサラですが、段々重く感じ、そしてある時点を越えたら、油がかなり出るようになり、黒く艶っぽく輝きます。そうなると、再びすりやすくなります。この工程は休みも入れ、40分ほどかかりました。やはりすった直後は手首が疲れます。できたら、ご家族やお友達みんなで作業を分担しましょう。
③②のすり鉢にお砂糖を全部入れて、200mlのお湯を加え、溶き伸ばします。更に残りの200mlのお湯を加え、よく混ぜます。
④③を鍋に移し、分量の水で溶いたくず粉も入れます。
⑤④の鍋を火にかけ、混ぜながら沸騰させます。この時くず粉のとろみがつくのがわかります。そうしたらもう火を止めて大丈夫です。
⑥白玉を作ります。手伝ってくれる方がいれば、上記の作業と平行して作ったほうが効率がいいかもしれません。一人で作業しても間に合いますので、大丈夫です。白玉の作り方は材料のパッケージに書いてありますので、ここでは省略します。ただし、今回は100gの白玉粉で12個を作るため、作った生地を12等分に分けて丸めてくださいね。
うちは6個だけ頂きますので、残りの6個はザルに乗せたまま冷凍庫に入れ、冷凍にしました。次の日に冷凍のままお湯で茹でて、味は同じようにつるつるで美味しいです。
⑦⑤の温かい胡麻汁を器に入れ、一人2個の白玉を入れて、出来上がりです。残りの胡麻汁は冷蔵庫で保存し、次の日に温めればもう一回おしるこの幸せを味わえます。
ご存知のように、黒胡麻は蛋白質、脂質、カルシウムなどのミネラル、ビタミン、食物繊維を豊富に含み、生命力を養い活力をくれる食材です。ゴースト血管の改善、白髪予防、骨粗鬆症予防など様々な効能が期待できます。
私が子供のとき、親戚が住む西安(昔の長安)の町に遊びに行ったことがありました。西安の屋台でこの甘い黒胡麻汁(白玉は入っていません)を食べた記憶があります。西安のいとこがしょっちゅうこの黒胡麻汁を飲むそうで、おばが「ほら、あまりにも黒胡麻汁が好きでよく飲むから、髪の毛がこんなに黒くて多くなったのよ」って言ったことは今でも覚えています。そして先日ネットでこの黒胡麻おしるこのレシピを見つけて、ぜひ作ってみたいと思いました。子供以来の甘い黒胡麻汁を頂いたとき、ただただ、幸せいっぱいの気分でした。ネットのレシピを参考にしたい方は、「グレーテルのかまど 黒ごましるこ」で検索してみてください。
煎り胡麻を使っているため、この工程は要らないでしょうが、なんとなくやりたいですので、フライパンで軽く温める程度で煎ってください。
この段階では胡麻はまだサラサラの状態です。
段々重く感じるようになります。
ついに油が出て、艶々になり、滑らかになります。ここまで40分ほどかかりました。
全部のお砂糖を加えます。
お湯を入れ、溶き伸ばします。
くず粉を溶かします。なければ片栗粉で代用できます。
鍋に移し、溶かしたくず粉を少しずつ入れます。
沸騰まで混ぜて、とろみがついてきたら火を止めます。
白玉を作ります。作る時間のない方は市販のおもちを小さく切りお使いください。
茹でた後に水につけます。
胡麻汁の上に静かに白玉を滑らせ、温かいうちにどうぞ!