症例紹介:長年の腰痛を二回の治療で改善
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
二回の治療で長年の腰痛を改善できた症例をご紹介します。
患者様:Aさん、50代男性、会社員
初診時主訴:2019年8月末に初診でご来院されました。
Aさんは痩せ型、30代から腰痛に悩まされ、それまで特別に激しいスポーツをしたこともなく、自分では原因は思い当たらないので、整形外科でいろいろ検査を受けた。ある病院で「ヘルニアの兆候がある」と言われたことがあったが、これといった確実な診断は得られなかった。そこから湿布や時々痛み止めの錠剤を飲むなど、自己流で痛くなった時だけ対応してきた。しかし、2年ほど前から痛む頻度も痛みの度合いも増してきたため、再度整形外科を受診しいろいろ検査を受けたが、レントゲンやMRIの画像から原因を特定できなかった。テレビで腰痛の特番を見かけると、真似てストレッチをやったり、腰ではなく股関節が原因かもしれないと、病院で股関節の検査をしてもらったりしていたが、やはり問題は見つからず、痛いのが続いた。今まで心療内科を含め、20以上の病院を転々としてきた。
お仕事で座ることは少ないため、運動不足とは考えづらい。会社の健康診断で特に内臓の病気は指摘されていない。悪玉コレステロールは高いが、治療するほどではない。
痛む部位は腰全体、おしり(特に左側)に限定する。下肢への拡散は見られない。
治療結果:東洋医学でAさんの症状を診断すると、「寒湿腰痛」と「腎虚腰痛」の両方が該当します。病所の腰だけでなく、全身治療をする必要もあります。一回目の治療後、二回目の治療を予約せず、様子を見てみるとのことでしたので、注意事項を説明させていただき、帰られました。次の日にお電話をいただき、二回目の予約をしていただきました。一回の治療でなにか今までと違う感覚を得られたそうです。一週間後の二回目を治療を終え、かなり痛みが取れたそうです。今週三回目の治療で来られましたが(前回の治療から二ヶ月が経っております)、腰の痛みはほとんど気にならなくなり、ただやはり寒くなったため、腰が重く感じるそうで、治療自体は気持ちいいですので、もう一度治療してもらいたいとのことでした。
この症例から、鍼灸治療はAさんが抱えていらっしゃった問題を解決するには最も適した治療法と言えるでしょう。また、鍼灸治療前の診断、治療方針、治療する主な経絡、経穴(ツボ)、治療手法(鍼とお灸の種類、刺激量など)の判断もAさんの体質、症状と合っていたと言えます。長年の慢性疼痛ですので、正直もっと治療期間を要すると思ったのですが、二回の治療でまず痛みのぶり返しが無くなったというのは治療する側も意外でした。
余談ですが、別の症例で、2週間前に首の痛みを訴える女性Cさん(40代、10年前から痛み出し、最近悪化したため初診でご来院)の治療がありました。この方も2回の治療を終えほぼ痛みが取れましたが、治療はAさんほど順調ではありませんでした。Cさんはご来院前一度別の治療を受けたのですが、余計に痛くなったためご来院したそうです。このことも考慮し、恐らくCさんは体質的に刺激に対し少し敏感だろうと思い、Aさんの治療と比べかなり軽い刺激にしましたが、一回目の治療後Cさんに曰く、次の日に好転反応(回復途中の経過として、一時的に治療する前より痛くなる現象)が出たそうです。しかし良かったのは、治療後二日目から快調に向かい、痛みの度合いは初診時の6割になったそうです。「好転反応」というべきかどうかは別として(うちの治療院では、このようなことになるのはめったにないことです)、この症例からは、今後更に患者さんの体質、体力、精神状態、病期、症状などを考慮し、自分の中で刺激量のガイドラインを定めようと思います。
今週の待合室のお花