症例紹介:パーキンソン病(発病から17年、今も仕事バリバリ)
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
先月29日にとても嬉しいニュースがありました! 京都大学でヒトiPS細胞から作った神経細胞を難病指定のパーキンソン病患者へ移植する治験を始め、近く参加患者を募り始めるそうです(後保険適用も見据えている。「京都新聞」による)。なぜ嬉しいか?うちに通っているパーキンソン病の患者さんたちにとっていい話、明るい希望の持てる話ですから。
パーキンソン病は、中脳黒質において神経伝達物質の一種であるドーパミンを出す神経細胞が失われ、ドーパミンが不足することで発症します。神経細胞が失われる原因は異常なタンパク質の蓄積と言われておりますが、どうして蓄積してしまうのか、その根本的な原因はまだわかりません。故に、根本的な治療法もありません。現在のパーキンソン病の治療薬は、主に不足するドーパミンを補充する対症療法で、弱点としてはいろいろな副作用に加え、10年以上経つと薬の効用は段々薄れていくようです。
症状は、手足の震え、歩きにくさなどの運動障害、認知症、自律神経障害などが様々です。今回の治験は運動障害が対象で、認知症など他の症状への効果はあまり期待できないそうです。よって、この治療法が確立すれば、患者さんにとって新たな良い選択肢になることは間違いありませんが、根治まではまだ「道半ば」で、既存の治療法も含めてほかの治療法の開発は引き続き重要な位置づけにあります。
その理由の一つに、今回の移植でも、パーキンソン病の原因とされるドーパミンを出す神経細胞への異常タンパク質の蓄積を抑えられるわけではなく、神経細胞移植後に再び蓄積し始める可能性もあります。特に、パーキンソン病の患者さんの4割が認知症を合併し、将来にわたり高い確率で認知症を発症してしまいます。
さて、パーキンソン病に対する鍼灸治療はかなり早い時期に行われ、その有効性は既に多方面において報告されております。また、どうして鍼灸は効くのかに関して、動物を使った実験でも少しずつ解明されて来ました。例えば、中国・湖北中医薬大学および江漢大学医学院で行った実験(殺虫剤をマウスに注射し、パーキンソン病の病態を引起す)では、中脳黒質において蓄積する異常タンパク質を分解するプロテアソームの発現と活動性を高めることが確認されました。この実験で使われたツボは「風府」と「太衝」の二つでした。
症例の一つには、運転手の仕事をする男性の患者さんで、45歳の若さで発症し、早い段階ですぐに薬物療法を始めたのですが、手足の震えが徐々にひどくなった方です。48歳を過ぎたときに、ご友人に連れられ鍼灸治療を始めました。以来14年、今は運転の仕事は問題なくこなせていらっしゃい、運動障害以外の認知障害などの症状は発症することなく、経過は順調です。この患者さんは二週間に一度の治療を今でもまじめに続けていらっしゃいます。
偶然に入ったカフェ。普段は料亭ですが、今の期間だけカフェをやっているそうで、ラッキーでした。
カフェのすぐ近くの日本庭園でまた一休みです。