症例紹介:しつこい膝痛は一回の治療で無くなりました。
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
先日膝の痛みを訴える女性の患者さん(50代)Tさんがいらっしゃいました。Tさんは学生時代にバスケットボールの選手で活躍され、その時に膝の怪我をしたことがあったそうですが、選手をやめてから膝回りの大きなトラブルもほとんどなくなりました。数年前に友人に誘われテニス教室に通うようになり、テニスにはまっていますが、去年の冬から右膝が痛み出して、大事をとりテニスを休んでいますが、運動が減ったせいか、ストレスが溜まり、体重も増え、膝の痛みもなかなかよくならないため、職場の知人の紹介でうちの治療院にいらっしゃったそうです。
初診では、右膝の明らかな炎症(赤み、熱)はなく、0脚変形もありません。ただし、少し腫れがあり、膝関節の中に水が多少溜まっているように見受けられます。この水は膝関節を構成する軟骨や半月板を栄養する「関節液」です。ところが、いろいろな原因で関節の炎症が起これば、関節液が過剰に分泌され溜まるようになってしまいます。関節に溜まった水は関節の可動域を制限し、動きづらくしてしまいますが、膝の痛みの原因にはなりません、むしろ膝関節の炎症の結果です。痛みがある以上、まず痛みを引起す炎症を取り除く必要があり、炎症がなくなれば、痛みも腫れも自然によくなっていきます。
うちの患者さんの中には、痛風とリウマチで膝が痛む症例もありますが、膝痛の一番多い原因は変形性膝関節症です。痛む仕組みは簡単に言えば、関節軟骨や半月板の摩耗から、炎症性サイトカインが分泌され、滑膜(膝関節の関節包の内側にある)の炎症が起こったからです。以前のブログ(2016年12月8日に公開、「鍼談灸話(2):老化を引起す慢性炎症に対する鍼灸治療①-炎症性サイトカイン」をご参照下さい)でお話したように、鍼灸は実にこの炎症性サイトカインの分泌を抑制すると同時に、抗炎症性サイトカインの分泌を促す作用がありますので、膝痛の治療にはとても有効です。
Tさんの膝痛は既に慢性期に入り、鍼治療と同時にお灸による治療も施し、患部を温めました。すると、二回目の治療に訪れたときに、既に膝の痛みが完全に無くなったとおっしゃいますので、五月からテニスを再開してもいいとお話をさせていただきました。
Tさんは学生時代によく整形外科に通っていたそうですが、今回の膝痛は整形外科に行かず、市販のシップと鎮痛剤を頓服していたそうです。今は鎮痛剤とシップを一切やめて、私から紹介した膝体操と、ご自身が普段からやられているストレッチで痛みの予防をしているそうです。
そして、Tさんにもお勧めしましたが、ご自宅で簡単にできる食養生は一つに、生姜料理を取り入れたらいかがでしょうか。生姜は副作用のない、天然の鎮痛剤と言われております。これは生姜に含まれるジンゲロールやショウガオールといった抗炎症成分に由来します。その他、身体を温め、殺菌作用もあります。新鮮な生姜なら一日60g、乾燥したものなら6gを摂ればいいです。
今週、金魚2匹が治療院の新たな住民となりました。可愛いでしょう!