症例紹介:慢性腎盂腎炎の治療
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
本日は慢性腎盂腎炎の症例を紹介させていただきます。
Aさんは30代後半の女性で、子育てをしながらパートのお仕事も忙しくこなしていらっしゃいます。
ところで、一年前に膀胱炎にかかり、なかなか治らず、大きな病院で再検査したところ、慢性腎盂腎炎の診断になってしまいました。それから、半年間抗生物質を飲み続けながら、定期的に病院で尿検査と血液検査をしていらっしゃいます。しかし、
・尿たんぱく
・中間尿中の細菌数
・血中白血球数
の値は好転できないまま、抗生物質はいつまで飲み続ければいいかもわからず、とても不安になり、初めて鍼灸治療を受けることになりました。初診時の症状は頻尿、残尿感、腰の重だるさ、微熱、下痢です。
慢性腎盂腎炎は尿流障害により、大腸菌などの細菌が逆流した尿に伴い、腎盂に達し感染を繰り返し起こす病態です。急性期の治療は疎かになると、慢性化しやすく、また急激に腎不全になるケースもあります。しかし、Aさんの場合は当初から急性腎盂腎炎による激しい症状経過はなかったそうです。また検査しても、尿流障害を引起す尿路結石などの原因疾患は見つからず、膀胱炎から慢性腎盂腎炎に発展したと思われます。
東洋医学では、慢性腎盂腎炎は「淋証」に属し、関連する主な臓腑は「腎」、「膀胱」、「脾」です。
鍼灸の治療目標は:
①免疫力の向上
②局所および全身の血流改善
③局所炎症に対する抗炎症作用
④健脾除湿、補腎化於。
治療経過:
週に一度、二ヶ月の治療を終えたところで、病院の検査で初めて細菌尿が陰性になりました。Aさんにとって一番の気がかりはこれでしたので、改善されたことで病気を克服する自信が湧いてきたそうです。抗生物質は飲まなくても良くなり、初診時の自覚症状も軽減されました。しかし、今まで膀胱炎を繰り返していたこと、尿たんぱくは改善したものの、まだプラスが続いていることから、自己免疫力を維持・向上し、腎機能の改善、膀胱炎予防のため、今はパートの仕事を再開しながら、月に1回の治療を受けていらっしゃいます。