鍼談灸話(1):「介護うつ」への鍼灸治療
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
かなり大ざっぱかもしれませんが、脳卒中患者の4割はうつ病を併発してしまうそうです。同じように、脳卒中患者を介護する一番身近な方、例えば配偶者の場合、同じく約4割の方がうつ症状を訴え、そのうち半分(全体の2割)の方はいずれうつ病に発展してしまうという統計結果があります。
脳卒中だけではなく、恐らく認知症やパーキンソン病など、「要介護」の病気を持つ患者さんのご家族も似たような状況でしょう。患者を日夜介護する方に対しても、早めの心身のケアが必要です。
ご家族を介護していらっしゃるうちの患者さんの場合、慢性的な疲労蓄積、不眠、うつ状態、動悸、めまい、消化不良、慢性的な下痢、腰痛や関節の痛みなど複数の症状を同時に抱えていらっしゃる方が多く、また既に落ち着いていた持病が悪化してしまうケースもあります。その上、介護で大変お忙しいため、鍼灸治療に来られる時間は限られてしまい、十分な治療を受けられません。こういった患者さんのご年齢は60代から80代に分布しており、このような症状が長引くと、免疫力低下、自律神経失調を招き、様々な病気を引き起こす可能性があります。
行政や民間サービスを活用し、上記のような不調を感じたら、西洋(医学)でも東洋(医学)でも早めに治療を始め、我慢しないほうがいいと思います。
ある鍼灸臨床試験では、軽・中度「介護うつ」になった患者さん(配偶者が脳卒中に倒れてから3週間以上経った)に鍼灸治療を二週間に一度、8週間を行ったところ、自己評価式の「うつ」の程度を判定する検査SDS、不眠重症度指数ISIの二つの数値に明らかな改善が見られました。
特に複数の症状を同時に抱えていらっしゃる患者さんに対しては、鍼灸治療をお勧めします。例えば、複数の症状に対して、恐らく、抗不安薬、睡眠導入剤、解熱鎮痛剤、胃酸分泌抑制剤、利尿剤、血管拡張剤(など)のうちの数種類かの薬は処方されるでしょうか。介護が長期化すれば、これらの薬との付き合いも年単位で長引きます。鍼灸治療の場合は、薬の副作用を心配することなく、複数の症状を同時に改善することができます。
連日の曇り・雨。日差しがほしいです!一ヶ月前に行ってきた奥多摩の写真を懐かしく思います。この日は、完全な晴れ!!!気温が高いのに、川水は冷たくて、冷たすぎるぐらいでした。