症例紹介:気管支拡張症
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
先月のブログで「肺MAC症」の鍼灸症例を紹介させていただきましたが、今月はもう一つ呼吸器系の症例を紹介いたします。
気管支は鼻から吸った空気を肺に運ぶ枝状の通路で、何らかの原因で慢性的な炎症や感染を繰り返していると、気管支が膨らみ、気管支拡張症になります。気管支拡張症になると、気管支が壊れ、そこに細菌やカビが溜まり増殖し、炎症を起こすことにより、咳、血痰、吐血(時には大量の吐血が出る)、肺炎などの症状が見られます。肺炎を引き起こすため、肺の破壊も進み、肺の機能が徐々に落ちいきます。また、他の呼吸器系の病気にもなりやすいです。例えば、肺MAC症や新型コロナウィルス性肺炎、インフルエンザ肺炎などです。
この病気は進行性ですので、治療が必要です。通常マクロライド系の抗菌薬、痰を出す薬、感染を抑える抗生物質を投与します。喀血が目立つ場合、止血剤また血管に管を入れ血を止める薬剤を直接注入します。これでも改善しない場合、拡張した気管支を含む肺を切除します。
では、うちの患者さんの症例をご紹介いたします。
患者さん:
Bさん、60代男性。
初診時主訴:
喫煙歴は20代から。40代から咳をするようになり、黄色の痰を伴います。58歳の時に、一度高熱が出て、激しい咳と大量の血痰が出ました。すぐに呼吸器内科を受診し、気管支拡張症、気管支炎、肺炎と診断され、2週間入院しました。退院後も、抗生剤などを服用し続け、それで発病当時の症状はかなり最善し、これを機に、たばこをやめました。しかし、やはり咳と痰の量が多く、特に秋・冬になると、痰の色が黄色く、時々血痰も出ます。処方された薬は真面目に飲んでいますが、これ以上よくならないため、ご友人の紹介で当院にいらっしゃいました。
治療方針:
①免疫力を高める。
②過敏状態の気管支の状態を改善する。
③呼吸器全般の機能改善。
④糖尿病予備軍だと病院で言われたため、血糖値を下げ、代謝を調節する。
⑤現在服用している薬の副作用による不快症状を改善する。
結果:
週に1回の治療を一か月間続けて、咳と痰の量が減り、血痰は出なくなりました。呼吸は楽になり、月に3回の治療に切り替わり、更に2か月過ぎたところで、たまに咳をする程度で、体調はかなりよくなってきました。呼吸を楽にし、呼吸器系の機能を向上するストレッチも指導し、月に2回の治療になって今2年経ちました。この2年間、風邪も肺炎もなったことはなく、懸念の一つだった糖尿病にもなることなく、血糖値はご年齢から考えると、ほぼ正常に戻ってきました。