症例紹介:耳鳴り
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
今回は最近にあった「耳鳴り」の症例を一つご紹介します。
耳鳴りの原因は様々です。例えば、中枢神経である脳に起因するもの、耳の炎症、加齢、寝不足、過労からくるストレスも耳鳴りの原因になります。しかし、耳鳴りの半分以上は原因不明ですので、根治療法はなく、対症療法が行われます。一説では、難治性耳鳴りが治せる方法を見つければ、ノーベル賞はほぼ確実だそうです(^-^)。
耳鳴りの病名をいうと、聴神経腫瘍、メニエール病、突発性難聴、老人性難聴、騒音性難聴、偏頭痛、耳垢栓塞、外耳炎、鼓膜炎、中耳炎、耳管狭窄症、内耳炎などがあります。治療できる病気なら、きちんと治療することにより、耳鳴りは解消されるはずです。しかし、病名はつかない、或いは治療法のないものに対し、対症療法的なことしかできません。それでも、もし症状が軽減できるなら、やってみる価値はあります。
病院で出される耳鳴りの治療薬は、抗うつ剤、ビタミン剤、抗不安剤、血流改善薬、漢方薬などがありますが、所謂「特効薬」はまだありません。
また、これも対症療法ですが、「マスカー療法」、「TRT療法」、ストレスをコントロールする「バイオフィードバック療法」があります。
さて、うちの患者さんですが、60代の男性で、急に「ゴー、ゴー」という音の耳鳴りが始まって3週間、ほぼ常に鳴っているような状況で、ただ、夜の睡眠は取れています。左耳は若い時難聴となり、病院で検査したところで、難治性感音性難聴と言われ、治療法はありませんが、補聴器をしばらく使いました。しかし、補聴器の雑音でストレスがたまり、それから補聴器を使わず、ほぼ右耳で音を聞き、日常生活に支障はありません。今回は右耳の耳鳴りです。
所 見:
めまいと難聴はありません。難聴に関してですが、私との会話は通常の音量でも全く問題なくできていますので、少なくとも生活に支障が出るレベルの難聴はありません。患者様ご本人は病院で検査をしたくないそうですので、本当に難聴はないという結論は難しいです。
耳の痛み、詰まり感などの異常感覚、発赤、浸出液、湿疹、外耳道入り口付近の異物はありません。
頭痛、立ちくらみ、歩くときのふらつき、吐き気などの症状もありません。
生活に特別な変化はなく、最近ストレスになるような出来事も思い当たりません。ただ、常に疲れを感じるのは前々からだそうです。
鍼灸治療:
東洋医学の診断として、「脾胃虚弱」、「腎精不足」になります。血圧と血糖値は若干高い(両方とも今グレーゾーンです)こともあり、治療の目標は、全身の代謝と血流循環を促進し、特に病側耳周辺の血流状態を改善します。脾気と腎気の不足を補い、自律神経のバランスを良くします。
また、鳴っている音を自ら探さない、なるべく気にしない、忘れるようにと、普段の生活上の注意点を伝えます。
経 過:
3回の治療を終え、耳鳴りは気にならなくなり(患者さんのお言葉ですと、耳鳴りは聞こえなくなったそうです)、患者さんもほっとした様子。また今まで感じていた体の疲れもだいぶ取れて、腰痛もよくなり、体全体が元気になってきたそうです。しばらく様子を見たいとのことで、ここで一旦治療を終了させていただきました。
しかし、四ヶ月後に再び朝起きたら、以前と同様な耳鳴りが聞こえてきて、再度来院されました。今2回の治療を終えたところで、症状はほぼ消えたそうです。耳鳴りのほうの治療効果を固定するため、また高血圧、糖尿病の進行を予防するため、しばらく治療を続けることになりました。
治療院から見る梅雨晴れの空、先までかなり曇っていましたよ。
今年もバラが咲きました(治療院ベランダーに生息中です)!