どうして鍼灸は効くの(1)? → 鍼鎮痛①:軸索反射
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
冬は腰痛、膝痛、首・肩の痛みを持っている患者さんにとってつらい季節です。ご存じの通り、整形外科系の疼痛疾患には鍼灸がとてもよく効きます。当院にもこのような患者さんが数多く来院していらっしゃいます。
整形外科では、鎮痛剤の投薬、ヒアルロン酸orステロイド注射、神経ブロック、牽引、湿布、コルセットなどの装具療法、手術を行いますが、鍼灸治療は鍼とお灸だけで患部の痛みと炎症に対処しております。では、どうして鍼灸は痛みを鎮めることができるのか。しかも、鍼灸の鎮痛効果は整形外科系の痛みのみならず、頭痛や胃痛などの内臓の痛みにも同様に効きます。まだ現代医学で解明されていない部分も多いですが、既にその機序においてわかっているところを、現代医学の見識を用いて少しずつお伝えしていきたいと思います。
まず一番患者さんご自身が目で見てわかる現象の一つに、刺鍼したツボの周りの皮膚がじわりと赤くなっていく「軸索反射」という鍼鎮痛の仕組みをご紹介したいと思います。
刺鍼で皮膚に刺激を与えると、皮膚に分布する刺激を受取るポリモーダル受容器が作動し、刺激信号が感覚神経(ポリモーダル受容器は感覚神経の末端にあります)を通って、脊髄、脳へと神経シナプスを介しながら伝導していきます(外側脊髄視床路)。しかし、一部は感覚神経軸索の枝分かれのところで、逆行して複数の枝分かれを伝って伝導し、神経末端からCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)やサブスタンスPなどの神経伝達物質を放出します。これらの神経伝達物質の影響で、刺鍼した部位周囲の皮膚血管が拡張し、血流が増大します。結果的に肉眼でもそこの皮膚だけが赤くなるのが見受けられます(フレアー現象)。血流増大で、停滞しがちな発痛物質が血流に乗って排除されます。これが、鍼による軸索反射で疼痛緩和できる仕組みです。
また大きい船を見に行きました。冬の海もいいもんです(^-^). 大きい船の手前に普通の大きさの船が一隻あるって気づかれました?比べてみれば、大きさの違いが一目瞭然!