症例紹介:慢性腎臓病
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
今まで患者さんの患う病気で慢性腎臓病で悩んだことはなかったのは、うちの患者さんで特に長年健康増進の目的で定期的に治療を受けている患者さんたちは慢性腎臓病になるようなことは決してなかったからです。みなさんは毎年会社や自治体の健診を受け、採血と検尿でクレアチニン、eGFR、蛋白定性などをチェックしていて、腎機能に関する指摘や低評価はありません。ほとんどの患者さんは健診の結果表を毎年治療院に持ってきて、見せてくださいます。腎機能の問題を見受けられるようなことはありません。これは定期的な鍼灸治療は長年腎機能を改善・維持してきたと思われます。
例外があると言ったら、ここ3年ぐらい、長年通われる患者さんの中にお二人(共に80代)の患者さんが、今までずっと年相応に正常だったeGFRが急に40台後半までに下がったことがありました。腎臓病に準ずる鍼灸治療をしたところ、お二人とも腎機能が回復してきたため、特に服薬などの医療介入は不要で、もちろん透析とも無縁です。余談ですが、どうして正常な方が生活習慣も変わっていないのに、急に腎機能が下がったのかについて原因を考えなければなりません。心当たりがあれば、それを今後避けなければなりません。結果的にお二人とも回復したため、わたし的にもほっとしているところです。
健診で腎機能を評価する主な数値は以下のようなものがあります:
①血清クレアチニン(Cre)
②血中尿素窒素(BUN)
③eGFR(推算糸球体濾過量)
④尿蛋白
イメージしやすいため、よく用いられるのはeGFRという値です。この値は年齢・性別・Creから計算され、低いほど腎機能低下を示します。通常の老化は正常な生理現象で腎機能が低下するため、eGFRは年齢と共に毎年少しずつ(数字で言うと、1前後)減っていくものです。近年薬の副作用による腎臓病も増えているため、漢方薬を含め、服薬中の方は特に注意する必要があります。可能性のある薬は例えば、痛み止め薬(非ステロイド性抗炎症薬)、一部の降圧剤、CT検査の造影剤、特定の抗生物質、一部の抗がん剤、免疫抑制剤、リチウム製剤などです。
慢性腎臓病は生活習慣病でもあります。慢性的な高血圧、高血糖、脂質異常症などが慢性腎臓病の原因にもなりえます。また、腎臓の病気、例えば慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、遺伝性腎症などもいずれ慢性腎臓病に進行していく可能性があります。原因を突き止め、それに対する解決策を実行すると共に、症状があれば症状を軽減する治療も同時に行います。
最近の症例です。
患者様 :70代後半、男性、M様
初診時主訴:子供の頃から腎臓が弱くて、中年以降、血圧も高くなったので、降圧剤と尿酸値を下げる薬を長年服用しています。最近の3、4年で検査値がどんどん悪化して、eGFRはついに18.5まで下がってしまい、このまま下がり続けると透析になると担当医から告げられました。透析をぜったいにしたくないので、鍼治療を試みたいそうです。ちなみに、eGFRが18.5になった時、糖尿病の薬である「フォシーガ」を処方され、それ以来飲み続けています。血糖値は常に正常ですが、「フォシーガ」はeGFRを高くできないものの、長期にみれば、eGFRの低下速度、つまり悪化速度を遅らせる可能性があるというふうに説明されたそうです。
Mさんは慢性腎臓病の自覚症状はありません。しいて言えば、少し疲れやすいぐらいです。今まで何回か痛風・偽痛風になったことがあります。当治療院受診時のeGFRは18.0まで下がりました。これはフォシーガを飲み始めた時におこる一時的な初期低下の結果でしょう。
治療経過 :三週間に一度の治療です。腎臓の治療だけをすればよいというわけはなく、基本的に全身治療になります。Mさんからいただいた治療前後の検査結果は以下の通りです。
| 検査日 | eGFR(mL/min)結果 |
| 2025/5/12 | 18 |
| 2025/7/7 | 19.4 |
| 2025/8/15 | 19.7 |
| 2025/9/8 | 20.1 |
| 2025/11/13 | 20.4 |
なお、eGFR以外の検査値は:
潜血反応:1+か2+のどちらかで変動している
蛋白定性:+-か1+のどちらかで変動している
糖定性: 4+で推移(これはフォシーガ服薬の影響だと思われます)
Мさんの結果を見ると、eGFRが18.5から下がり続けることはなく、むしろ上がり始めたことがわかります。eGFR値は絶対的な値ということはありませんが、傾向を可視化するには有用だと思います。M様はこれからも鍼灸治療を継続していき、将来に渡り人工透析することなく、自覚症状に悩まされることもなく、健康寿命を延ばしていけると思います。
余談ですが、非常に健康意識の高い60代の友人がいて、会社の健康診断の結果も常に優秀で、定期的な運動習慣もあります。しかし、健診でなぜかeGFRが一年前の73から急激に46に下がってしまい、いろいろ原因を考えてみた結果、半年前に始めたデカフェ(ノンカフェインのコーヒー)のせいではないかと、それをやめてしばらく再検査したら、eGFRがかなり回復してきたそうです。決してデカフェが悪いというわけではなく、友人の保管方法に問題があったのです。どうやら、大量に購入したコーヒーにカビが生え、気づかず飲み続けていたのです。食品のカビ毒、或いは加工食品の大量摂取はやはり避けたほうが無難です。友人は今も毎日コーヒーを楽しんでいます。新鮮な豆を少量に購入してきて、冷蔵庫で保管しているそうです。











