症例紹介:鍼灸で脂肪種を取る
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
今日は陽性腫瘍である脂肪種を鍼灸だけで取る治療の症例を紹介させていただきます。
脂肪種ははっきりした原因は不明ですが、脂肪細胞の異常増殖でできる良性の腫瘍で、脂肪組織のあるところなら、体中のどこにでもできる可能性があるため、例えば心臓にも脂肪種ができます。鍼灸師には目で見て、手で触ってわかる脂肪種は皮膚のすぐに下にあるものです。
脂肪種は通常自然に小さくなることはなく、少しずつ大きくなり、できた場所により日常生活に不便が出て、気になるなら外科手術で取るしかありません。二年前うちの患者さん(健康増進のための通院)で30代の女性ですが、日帰りで脂肪種(直径1.5cm)の手術を受けました。上手な先生で傷跡が短くなるよう丁寧に手術してくれたと思いますが、患者さんは色白肌の持ち主ですので、二年経った今も赤い傷跡が見えます。首の下、肩甲骨の内上角にあるので、襟の低いファッションですと、後ろから見えてしまいます。これがきっかけになり、今年に入り、脂肪種の鍼灸治療を試みることにしました。手術ではありませんので、当然手術痕は残りません。
なお、手で触った感覚で腫瘍は硬く、或いは赤み・痛みが伴う、形はいびつな場合、脂肪種ではありませんので、この鍼灸治療は適応しません。またまれですが、一つでなく、同時に複数個脂肪種がある場合、単なる良性腫瘍ではなく、ほかの病気が隠れている場合がありますので、病院での検査が必要です。
<症例1>
患者様 :40代女性Kさん、生活習慣病予防、首肩こり治療のために、ほぼ週に一回通院中。
治療経過:左腕背側、手首上10センチのところにできた直径2.5cmほどの脂肪種。恐らくかなり前(10ー20年前)にでき、更年期にさしかかり、代謝が乱れる時にわかるように成長したでしょう。Kさんに相談され、同意を得て、鍼灸で取るようにしました。今年3月のことで、私にとっては初めての試みです。Kさんの普段の治療に加えて、脂肪種を取る鍼をして、三回で完全に取れました。もちろん、なんの痕もありません。Kさんもビックリした様子でした。
<症例2>
患者様 :50代女性Nさん、生活習慣病予防、アレルギー体質改善のために、月に一回通院中。
治療経過:右肩甲骨と脊柱(5番胸椎)の間、脊柱すぐ脇のところにできた直径3.5cmほどの脂肪種。去年目立つようになり、最初は様子見していたのですが、徐々に大きくなる傾向にあり、Nさんの同意を得て、鍼灸で取るようにしました。いつもの治療に加え、既に4回施術して、先週治療に来られた時に、内容物の吸収が進み、腫瘍の高さは元の半分ぐらいに減りました。あと数回の施術で見た目でわからないぐらいまでに小さくなると思います。完全になくなってくれたらもっと嬉しいですが。
脂肪種は自然になくなることはなく、手術による摘出は唯一の治療法だと言われております。しかし、どうして鍼灸で取れるのか。これは鍼灸の物理的・温熱的刺激により、脂肪種を包む被膜に微小隙間ができ、周辺組織にある免疫細胞は傷を処理するように、中の脂肪細胞も一緒に処理したのではないかと。この吸収の過程は外傷のような腫れ・痛み・赤み・熱感を伴わないませんし、皮膚の切開、出血はないため、自宅で脂肪種に消毒軟膏、ガーゼなどの手当ても一切必要ありません。
なお、この施術は今、既にご来院の患者様にだけ行っており、付加治療費も必要ありません。脂肪種治療のみの新規の患者さんを受け付けておりません。