新型コロナウィルス性肺炎に対する鍼灸治療の現場
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
2月23日のブログ(「免疫力を上げたい:ご自宅で据えるお灸の位置 & 症例報告:流産を乗り越え、第2子を自然妊娠!」)で紹介させていただいたように、日頃の鍼灸治療により免疫力を高い状態に保ち、今回の新型コロナウィルスによる肺炎のような感染症や免疫系統の異常に由来する重大な病気を予防できるのではないかと考えております。ただし、一度二度だけの鍼やお灸でもう安心ということではなく、定期的に、病気予防のための鍼灸治療を熟知している鍼灸師のもとで治療を継続する必要があるかと思います。
しかし、既に新型コロナウィルスに感染してしまったら、鍼灸は今、感染指定病院等の治療現場でどう治療に関わっているのかについて、中国の例を2つ挙げます。
中国鍼灸学会からです。
①2月15日、武漢市漢口医院呼吸一区、重症患者の場合。
(「中国中医薬報」2020-02-29)
広東省からきた医療支援チームは西洋医学と中医学(東洋医学)の専門家による混合チームで、この日入院中のある重症患者は突然呼吸困難に陥り、心拍130-140回/分、呼吸30-40回/分、血中酸素飽和度59%(通常90%以下になると、呼吸不全の状態になる)、患者は大汗をかき始め、精神的に焦燥、興奮状態になり、人工呼吸器をすぐにでもつけたいですが、つけられないほど危篤になってしまいました。中医学専門家のZou旭教授がこの状況を見て、すぐに鍼を取り出し、順番に患者さんの両下肢及び両腕に刺鍼し、10分後患者は次第に通常な精神状態を取り戻し、心拍90回/分、呼吸25回/分、そこから更に30分が経過したところで、酸素飽和度も90%に戻りました。その場にいた西洋医学の重症治療専門家の医師も、「鍼灸による救急現場を自分の目で見たからじゃないと、本当に信じがたい出来事でした」と表明。その後、漢方薬も加わり、西洋医学の対症治療と一緒に、一週間後患者が危機的な状況を脱し、回復に向かっていったそうです。
②2月25日、武漢市雷神山医院感染科五病区、重症患者名の場合。
(「光明日報」2020-02-26)
武漢市雷神山医院は日本でも報道された15日間で完成させた病院です。感染科五病区主任、医療支援で上海中医薬大学付属龍華医院救急医学科から来た方邦江教授が診ていた二名の重症患者が、鍼灸による救急を経て、近いうちに退院できる見込みだそうです。うち一名は入院当初から人口呼吸器を使わず、鍼灸による救急を行いました。もう一名は呼吸補助装置(酸素マスク?具体的な報道はなし)を使いながら、気管挿管をせず、鍼灸による救急治療で呼吸困難な状態から生還しました。方医師によると、五病区は重症病区ですが、中医学治療をメインにしており、6割の患者に鍼灸治療を施し、全患者に漢方薬を投与しているそうです。
これらの症例以外、武漢第一人民医院、武漢第三人民医院、湖北省以外では、安徽省、四川省、河南省、山西省、江西省などの取り組みも紹介されております。2月14日時点の報道を見ると、武漢市のある湖北地区において、75%の割合で中医薬が利用され、湖北以外の地区では90%以上の割合で診断患者の治療に活用しているそうです(国家中医薬管理局医療専門家チーム長、中国中医科学院黄璐琦院長のインタビューの一部を抜粋)。
以上の内容は2月時点のもので、一か月以上経った今はもっと多くの症例データが集められているはずです。東洋医学は慢性病の治療に定評がありますが、このように、古代より実は鍼灸は急性病の治療、感染症の救急治療にも応用されてきました。
繰り返しになってしまいますが、鍼灸の真髄は病気の予防にあります。誰もが病気にはなりたくない、感染される前に予防するのは一番大事です。
普段はともかく、この時にあえておうちにお花を飾りませんか。新型コロナウィルスの感染拡大以降、近所の花屋さんに行くと、お花の種類は少なくなり、鮮度も以前より落ちているような気がします。みんなで少しでも花屋さんを応援したいです!