漢方の「飲み合わせ」
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
先日中国にいる友達から頼まれて、日本の「長引く咳に効く」漢方を買ってほしいとのことでした。最近、日本の漢方は中国でも人気があります。恐らく、「日本製」=高品質、安全、安心のイメージと、どの街中にでもある普通の薬局で簡単に買えて、しかも症状別に対応できているところからだと思います。
日本のお医者さんの七割以上が患者に漢方を処方したことがある言われております。しかし、処方と同時に、皆様がどこかで飲み合わせの説明を受けたことはありますか。説明を聞いたことのある患者さんは少ないのではないかと思います。
飲み合わせは二つの意味合いがあります。一つは同時に併用している西洋薬との飲み合わせ、もう一つは食べ物、飲み物との飲み合わせです。
西洋薬との飲み合わせについては、ぜひ薬手帳などを活用し、主治医と薬剤師さんに積極的に相談してみましょう。ここでは、食べ物との飲み合わせ(「忌口」と言います)を考えます。
漢方薬は自然界にある植物、動物、鉱物などを原料にし、加工を経た複数の生薬を組み合わせた薬です。当然、同じ自然界からいただく食べ物との相性があります。組み合わせによって、薬効を助長したり、また打ち消されたりする場合があります。通常、漢方薬の種類によって、それを服用している間は、過食或いは食べてはいけない食べ物に気を配りながら服用しなければなりません。いくつかの例を挙げます:
①「内熱を取る」漢方:ねぎ、にんにく、胡椒、ラム肉、揚げ物
②「寒証」向きの漢方:冷たい食べ物&飲み物
③「肝陽上亢」の漢方:唐辛子、胡椒、にんにく、お酒
④「脾胃虚弱」の漢方:揚げ物、動物脂肪や繊維質の多い食材
⑤皮膚病向けの漢方 :魚、えび、かに、唐辛子など辛い食材
⑥風邪(小児発疹)向けの漢方:冷たい、脂っこい、酸味の強い食べ物&飲み物
⑦「気滞」向きの漢方:豆類、サツマイモ、里芋
⑧朝鮮人参の健康食品:大根
処方された漢方は「熱証」を取るためのものか、「寒証」用のものか、「気滞」を治す作用があるのか、主治医の先生や薬剤師さんに確認していただきたいです。また、「食事などの注意点は?飲み合わせは?」と聞いていただいてもいいと思います。
漢方薬は一般的に副作用の少ないものの、やはり副作用があります。特に長期間飲むものに関しては、定期的に血液検査で副作用が出ているかを確認しておいたほうが無難です。また、胃腸を荒らす作用の強いものに関しては、食後に服用するなど、工夫も必要です。
長期間飲む漢方薬は、完璧に「忌口」の食べ物を避けるのは難しいと思います。好きでもない食べ物を食べないでおくのはまだいいですが、大好物ですと、かなりのストレスになりますので、「過食しない、或いはたまには適切な量であれば問題ない」を念頭に入れていただければと思います。
一月の寒い朝、暖かいポタージュはいかがですか。これはにんじんのポタージュです^-^。そう言えば、言い忘れました。いくら東洋医学で言う「熱」を取る漢方を処方されたとは言え、「忌口」の食べ物を避けても、顕著に身体を冷やすような食べ物はやはり口にしないでください。そういう時は、このような温かいスープ、お粥を摂ったほうが無難です。