どうして鍼灸は効くの(7)? →鍼鎮痛⑦:DNIC(広汎性侵害抑制調節)
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
5日の立夏を過ぎ、今日はゴールデンウィークの最終日です。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
このシリーズでは、西洋(現代)医学の基礎理論と用語をベースに、どうして鍼灸治療に多彩な効果があるのかを説明していきたいと思います。
鍼鎮痛の最終回はDNIC(広汎性侵害抑制調節)についてお話したいと思います。
DNICは体のある部位の病的な痛みは、ほかの部位に加えられた無害な刺激によって抑制され、感じなくなる現象を言います。ここで言う「刺激」は鍼による機械刺激、お灸による熱刺激などが含まれており、そして「広汎性」という言葉に象徴されるように、痛みのある部位とは遠く離れた場所に加わった刺激でも効果があります。DNICのメカニズムについて、延髄の背側網様亜核からのネガティブフィードバック機構や、広汎性刺激が痛み箇所からのC神経線維(脳に痛みを伝達する神経)の興奮を抑制できるなどの説があります。
臨床応用としては、鍼灸治療法の一つに、「上病下治、左病右治」というものがあります。例えば、胃の痛みに対し、足にある「足三里」というツボを刺激すれば、痛みがすぐに消えることを何度も経験しております。また、左側頭部の偏頭痛に対して、右手にある「合谷」というツボを刺激すれば、治療が終わるころ、患者さんがもう頭痛のことを忘れてしまっていたということもよくあります。
以上、七回のシリーズをもって、痛みに対する鍼灸治療の理論根拠をみてきました。痛みは症状であって、その原因となる疾患は必ず体のどこかにあります。鍼灸治療はまず対症療法的に痛みを取り除くだけではなく、その原因疾患もきちんと見極め、原因疾患に対する治療、つまり根治療法も同時にやらなけれなりません。
このころ、自分で撮ってきたお花の写真です。この季節は本当にいいですね!!!