症例紹介:アトピー性皮膚炎、頚椎症、徐脈(慢性疲労)、不妊、うつ症状
こんにちは。渋谷区幡ヶ谷の胡鍼灸治療院です。
この頃は症例を書いていなくて、そろそろ一回最近の新患症例を紹介させていただきます。
個々の詳細を省きますが、いくつか今回はまとめて書かせていただきます。
症例1:アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎はほとんど慢性的な皮膚のアレルギー症状で、最大の免疫器官である皮膚のバリア機能が低下し、しつこい湿疹が繰り返し発生し、大半かゆみが伴うことで引掻き、バリア機能が更に悪化し、悪循環的にかゆみも更にひどくなります。薬物療法でうまくコントロールできないケースも多く、非常に悩ましい皮膚病の一つです。特に若い子の患者さんは見た目の問題もあり、精神的なストレスを助長されております。
患者さん:10代の女の子Aさん
経過及び治療結果:
Aさんはアトピー性皮膚炎のために来院したわけではありません。アトピーよりももっと悩んでいる症状があり、そちのほうをまずなんとか解決したいそうで、ついでに長年かかっているアトピーも一緒に良くなれたらいいなということでした。結果的に二つの症状が5、6回の治療で一緒に改善されました。アトピー性皮膚炎のほうは第三者の目でも見れば改善程度がわかるため、客観的に評価できます。特にひどかった肘、膝の裏、おなか、背中の皮膚状態が見る見る綺麗になっていき、かゆみのための引っ掻き傷も段々少なくなり、今は8回治療しましたが、新しい傷はほぼ見当たりません、後は古い傷が自然に治るのを待つだけです。Aさんが一番解決したい症状のほうも今は落ち着いてきました。
症例2:10年間悩まされていた頚椎症
患者さん:70代女性Bさん
経過及び治療結果:
Bさんによると、病院で頚椎症だと診断されて既に10年間経っており、効果を感じていないものの、ずっと頑張って牽引を継続してきましたが、首、肩の痛みと痺れは10年間取れたことはなく、夜寝る時に痛みで何回も目が覚めて、睡眠状態も長い間悪いそうです。Bさんの治療は4回を終了した時点で、10年間の苦痛はほぼ無くなりました。夜も痛みや痺れで起きることは無くなり、今は首の治療以外に、弱い内臓の機能改善にも取り込んでおります。
症例3:徐脈、慢性疲労
徐脈は不整脈の一つで、心臓の毎分心拍数は50回以下となると、徐脈と診断されます。徐脈となると、運動どころか、日常生活に必要な酸素と栄養素を、脳、各内臓、筋肉など全身に行き渡らせることはできず、症状としては息切れ、めまい、慢性的な疲労感、むくみを感じるようになります。進行すれば失神、突然死の可能性もあります。
患者さん:50歳女性Sさん
経過及び治療結果:
Sさんの主訴は常に感じている体のだるさ、疲れやすいため頑張って十分な睡眠をとるようにしていますが、朝起きた瞬間から疲れを感じるという悩みでした。この状態は40代に入ってからずっとだそうです。診察した結果、東洋医学の診断として、Sさんは痰湿脾弱、肝心両虚の結論に至りました。また、一番気になったのは深刻な徐脈の疑いでした。徐脈は西洋医学の診断名になりますが、Sさんに聞いても、今までの健康診断で徐脈や心臓の異常があると指摘されたことは一度もなく、ご自身でも今まで心臓を意識したことはなかったそうですが、私が検査したところ、初診時の心拍数は39回/分でした(弁膜症の所見はなく)。この数字は普通なら手術で体にペースメーカーを埋め込み、心臓に血管を通し電線を送り込み、電気信号を送ることで正常な心拍数を維持する必要があります。血圧は正常でした。またSさんによると、健康診断でいつも血糖値は正常で、中性脂肪は少し高い程度、肝・腎機能は正常で、薬の処方はありません。東洋医学の診断と西洋医学でいう徐脈の疑いという両方の観点から、鍼灸治療の方針と計画を立てました。
Sさんは鍼灸治療に対する感受性が高く、初回の治療後再度検査したら、心拍数は70台に戻りました。2回目の治療前にとった脈はやはり40台の徐脈で期外収縮もあり、しかし治療後の心拍数は同様に70台まで回復し、期外収縮も無くなりました。これほど治療前後の顕著な差が見られるのは珍しいぐらいですが、3回目の治療に来られた時に、徐脈は見られず、残念ながら期外収縮が相変わらずありました。しかし、やはり鍼灸治療後、期外収縮もその場で無くなりました。4回目の治療を開始する前に脈をとったら、徐脈も期外収縮も見られませんでした、疲労感とだるさはだいぶ取れたような気がするとSさんがおっしゃったのです。5回目の治療時は治療する前は徐脈なしで、期外収縮はまた発生し、しかし、これも治療すると期外収縮はその場で無くなります、治療している間に何回もSさんの脈を診ますが、何度診ても期外収縮は見られません。今はSさんは継続的に治療にいらっしゃいますが、徐脈は三回目の治療以来五か月間ずっと見られず、時々期外収縮がありますが、鍼灸すれば必ず無くなるような状態が続いております。Sさんは仕事をしており、薬と手術をやりたくないそうで、治療経過を見ながらその都度慎重に判断し、西洋医学の治療手段も含めて今後Sさんにとって最適なアドバイスができたらと思います。
症例4:2回の不妊治療で1回目の体外受精により妊娠
患者さん:38歳女性Fさん
経過及び治療結果:
Fさんは1年前から不妊専門の産婦人科で不妊治療を受けてきました。不妊の原因は検査しても不明で、タイミング療法と人工授精を何回も頑張りましたが、結果は出ませんでした。今年8月で39歳になるため、主治医の方は対外受精を提案してきて、いろいろ準備している段階で、このことを職場の同僚の女性に打ち明けたら、その女性に「対外受精の費用が高いから、その前に鍼灸治療も受けてみたら?対外受精の成功率が上がるかもよ」と言われたそうです。その言葉が気になり、ご自宅に近い治療院をインターネットで調べたら、うちの予約を電話で取られたそうです。体外受精は一回の費用は40万円~80万円ぐらい、そして一回の成功率は産婦人科により差があるでしょうが、30%ぐらいだと言われております。このため、体外受精を複数回受けざるをえないのは決して珍しいケースではありません。
初診で来られたFさんはかなりの冷え性で、顔色が優れず、慢性的な肩こり、腰痛があり、睡眠状態が悪く、また慢性的な下痢、頭痛が続いておりました。この状態で対外受精を受けても、一回で成功する確率は低いのではないかと直感的に思いました。祈る気持ちで診断し治療計画を立て、治療を開始しました。しかし、時間的な猶予はあまりありませんでした。一回目の体外受精まで結果的に2回の鍼灸治療しかできませんでした。ただ、やれるだけの治療はやらせていただきました。3回目の治療に来られる時は、病院での妊娠が確認されしばらく経ったところです。吐き気とのぼせを感じるようになったのですが、赤ちゃんのほうは問題なく経過は順調だそうです。本当におめでとうございます!
症例5:うつ症状の改善
患者さん:40代女性Mさん
経過及び治療結果:
Mさんは数年前に数回治療に来られたことがあり、その後来ておらず、また先日電話予約して治療に来られました。数年前の症状とは全く別の問題で、今はひどく落ち込み、先日道端で急に泣きたくなり、たくさん人が通りかかっていたにもかかわらず、今まで我慢できていましたが、その日は我慢できず、声を出して泣いてしまったそうです。その後うちに帰ったら、自分はやはり精神的におかしくなったんだと思い、友達に相談したら、その友達に、「なんだかうつ病のような症状なんじゃない?心療内科で診てもらったら?」と勧められたそうです。しかし、Mさんは「もし今心療内科に行き、街中で構わず泣いてしまったと訴えたら、きっと抗不安薬やら睡眠薬やらうつ病の薬とか出される、でも、精神科の薬を飲みたくないな。。」ってそこで思ったそうで、とりあえず鍼灸治療を受けに来られたそうです。
まずMさんはうつ病ではないと断言します。本当のうつ病の患者さんはそこで自ら自分を冷静に分析し、心療内科に行った後の薬処方のシナリオまで想定できたりしません。そして、自分の判断で鍼灸治療の予約をし、自分で予約通りの日時に治療院を訪れることもできたんですから、うつ病なんかじゃありません。うつっぽい状態ですが、うつ病ではありません。うつっぽい状態、うつ症状というのは誰だって、長く生きていれば体が傷つき、心も折れそうになる時は一度、二度は少なからずあるわけで、けっしてMさんだけが弱いとか、おかしくなったというわけではありません。
Mさんは3回の治療を経て、気持ちの切り替えが早くできるようになり、ずっと引きずることをやめられたそうで、だいぶ表情も明るくなって、なんであそこまで悩んでいたんだろうとおっしゃいます。良かったです、私も一安心です。今はMさんは時間の取れた時に、不定期ですが、時折予約し治療を受けていらっしゃいます。
小さな燕が見えますか^ー^
山の紫陽花はまだ元気ですね!