どうして鍼灸は効くの?(101)-虚血性心疾患・脳疾患について
前回までは虚血性心疾患に対し、鍼灸治療による
①不整脈の改善作用
②心筋細胞間情報伝達機構の保護作用
③心筋細胞を壊死から守る作用
を臨床試験を通してみてきました。今回は動脈硬化性心臓病と急性冠状動脈症候群に対する鍼灸施術の予防作用についてみます。
(3)冠状動脈粥状硬化性心臓病と急性冠状動脈症候群に対する鍼灸の予防作用
近年、国内外にて鍼灸による冠状動脈粥状硬化性心臓病の予防・治療について、数多くの研究報告が発表されています。そして粥状硬化性病変に基づいて発生する急性冠状動脈症候群(acute coronary syndromes)に対する予防効果についても、鍼灸治療の有効性は認められています。
中国安徽中医学院科技処と鍼灸経絡研究所の共同研究発表について、紹介いたします。
この研究グループは実験用ラットを用いて冠状動脈粥状硬化性心臓病モデルを作成し、モデルラットを作成するには高脂質餌を12週間続けて与えました。冠状動脈硬化性心臓病モデルの作成が成功したを確認してから、普通の餌に変え、モデルラットを①鍼治療組、②薬物治療組に分けました。鍼治療組は1日1回、2週間連続で鍼治療を施しました。薬物治療組はリピトール(アトルバスタチンカルシウム水和物)*26を2週間飲ませていました。それ以外に、モデルを作成しながら、最初の日から隔日に1回の鍼治療をする、つまり高脂質餌を与えた12週間の間に鍼を続けた③事前処理組、普通の餌を与えていた健常なラット④対照組も作りました。
実験が終了してから、5組(治療を一切受けていないモデルラット組も入れ)の①冠状動脈の病理変化、②血中の脂質レベル、③冠状動脈組織中のCD40L、MMP-9の発現状態を比べました。
①冠状動脈の病理変化
○対照組:冠状動脈の内膜が平滑で、粥腫性プラークや泡沫細胞が見られない。中膜の平滑筋細胞の配列が整然、細胞核が清楚に見える。
○モデル組:冠状動脈の内膜が平滑ではなく、散在的な泡沫細胞、粥腫性プラークが形成、脂肪線条が多くみられ、脂質集積の面積が広い。中膜の平滑筋が薄く、細胞線維が萎縮状に見える。
○鍼事前処理組:内膜が平滑ではなく、少量の脂肪集積や泡沫細胞があり、中膜平滑筋の配列が整然している。
○鍼治療組:内膜に少量の脂肪集積があり、泡沫細胞と炎症性病変がみられない。中膜平滑筋の配列が整然している。
○薬物治療組:内膜に少量の脂肪集積があり、泡沫細胞が少なく、たまに炎症性潰瘍がみられる。中膜平滑筋の配列が割合によい。
②血中脂質レベルの変化
このシリーズで、鍼灸は脂質異常症を治療する効果があると何度も紹介しましたが、今回の実験も同様な結果が出ています。
モデル組のTC、TG、LDLは対照組よりは遥かに上昇しましたが、HDLは対照組より有意に低下しました。鍼事前処理組、鍼治療組、薬物治療組のTC、TG、LDLはモデル組より明らかに低下し、HDLはモデル組より有意に高いです。TC、TG、LDL値を改善する効果に関しては、鍼事前処理組は薬物治療組より高く現れました。
次回は引き続きこの内容を深堀します。

麦秋は精巧なリズムを刻み、今年も静かに、そして確実にやってきました。

可愛い野良ちゃんも元気!今年の夏は更に暑そうで、負けずに一緒に乗り越えようね。

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