うつ病の家族がいます。うつ病で鍼灸治療を受ける人はいるの?
はい、うつ病の改善には鍼灸治療は効きます。
人間は「七情六欲」をもつ「感情動物」です。仕事・人間関係による悩み、肉親の生離死別による悲しみ、病気・怪我による不安などの感情変化で、うつ状態に陥ることはよくあります。これは病的ではなく生理的なことで、時間が過ぎれば自然と元に戻ります。しかし、ある線を越えると生理的ではなく病的に進行してしまうことがあります。今の管理された社会の中で、ストレス耐性も弱くなり、うつ病だと診断される人は増えました。うつ病患者の中に「死にたい」(希死念慮)という方が3割り以上で、現に年間3万人の自殺者のうち、うつ病患者は大きな比率を占めています。年齢層を見ると45~54歳の人数はもっとも多いです。
うつ病になる誘因はストレスですが、ストレスによって引き起こされる身体変化は、脳内神経伝達物質の変化(セロトニンなどのモノアミンの欠乏、あるいはモノアミン受容体の過感受性、興奮性伝達物質と抑制性伝達物質のアンバランスなど)を主としています。
鍼灸治療は、神経伝達物質の生成促進、興奮性と抑制性伝達物質のバランス調節、炎症性サイトカイン生成過剰の抑制、自律神経バランス調節などにより、うつ病の根本治療ができます。
実際に、当治療院に通院しているうつ病患者様(治療中断の患者様を除く)は治療を経て全員社会復帰しました。半分以上の方は治療薬を止めました。残りの一部の方は夜寝る前に少量の誘眠剤を、ごく一部の方は仕事をしながら単剤によるうつ病治療薬を続けています。
余談ですが、うつ病治療薬の副作用を考慮した場合、既に多剤大量の薬を処方された方は、今すぐに主治医の先生にご相談することをお勧めいたします。
うつ病は1、2回の鍼灸治療で治る病気ではありません。定期的な継続治療が必要です。鍼灸治療を始める最初のほうは、うつ状態の患者様は大抵自発的、積極的に治療院に通う気力に欠けています。予約をしておいても、いざ家から出かける時間になると億劫になり、電話で治療をキャンセルしてしまうことはしばしば見受けられます。そのため、治療効果を挙げるために、ご家族のご協力(例えば、通院同伴)が必要となることが多いです。